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知っていますか?手帳のない発達障害児の使える福祉サービスいろいろ

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幼児期は療育などにかかることが出来ても、小学生中学生高校生と大きくなるとなにも支援がない!幼児でも地域の療育センターがいっぱいで手帳がないと療育が受けられない!と思っていらっしゃる方は多いと思います。

発達障害児が福祉サービスを受けるために必要な手帳といえば「療育手帳」(地域によっては呼び名が違います。東京都では愛の手帳)か、精神障害者保健福祉手帳です。

うちにも二人の発達障害と診断された子供がいますが、現状ではどちらも対象外となり持つことができません。

療育手帳は知的障害を伴う場合(地域によっては知的障害がなくても療育手帳をとれるところもあります)に発行されるもの。精神障害者保健福祉手帳の場合は、知的障害を伴わない発達障害児でも取れる可能性がありますが、現状で子供が申請した例は非常に少なく、二次障害が今のところ出ていないうちの子ではまず通らないだろうと主治医から言われています。自治体によって通りやすさに違いがあるようです。子供が申請するのは障害者枠での就労に向けた高校生くらいの時期が多いそうです。

手帳を取得すれば様々な生活を支えるための福祉サービスが受けられますが、手帳がなくとも受給者証をとることで受けられる福祉サービスが実は他にもたくさんあるのです。

福祉サービスは、あちらからこういうものが使えますよ!と教えてくれるところはほとんどありません。自分で知って使いたいと申請しなければ使うことができないのが現状です。

 

手帳がなくても各種受給者証がとれる

これがわが家が現在もっている受給者証です。二人いるのでこれが二組あります。

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受給者証の区分は地域によって異なるので同じサービスでも種類が違う場合もあります。

受けられるサービスと取得方法を説明していきます。写真にあるものの他に自立支援医療受給者証もあります。

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通所受給者証

これは児童発達支援(未就学児)と放課後デイサービス(就学後から高校生まで)、障害児相談支援を受けるための受給者証です。わが家で一番活躍しています。

・この受給者証があれば放課後デイサービスなどが自己負担額が1割負担で受けることができます。

・その家庭の年収に応じて利用料の月額上限が決められており、0円、4600円、37200円に分かれています。(利用した1割負担が上限に達した場合のみ)

・利用できる日数も状態に応じて受給者証取得の段階で決められます。利用日数の規定は自治体によって異なり、私の住む自治体では最大13日となっています。(25日のところもあるそうです。)

取得は自治体によって多少異なる場合がありますが、うちの自治体では福祉事務所でもらう所定の用紙に医師の意見書が必要です。診断書ではなく意見書ですので確定的な発達障害の診断がなくても、医師が療育などが必要と判断すれば書いてもらうことができます。つまり様子見といわれる段階やグレーと言われても取得できる場合があります。

 

<児童発達支援>

未就学児を対象にした発達支援を行うところです。事業所により内容も様々で、心理士、作業療法士、言語聴覚士などによる療育を受けられるところもありますし、小集団で就学に向けたプログラムを行っているところ、遊びを通じてコミュニケーションの向上を図るところなど色々あります。

わが家の息子も幼稚園に通いつつ週に何回か通っていました。就園前は親子一緒の小集団、就園後は親子分離で学校形式のトレーニングを主にした事業所でした。

その他、児童発達支援の事業所では保育園・幼稚園などの訪問支援を行っているところ、障害児相談支援や就学後の放課後デイを併設した事業所もあります。

 

<放課後デイ>

小学生から高校生まで利用することができる施設です。障害児向けの放課後の居場所のような感じでしょうか。内容はこれも事業所により様々で療育をしっかり行ってくれるところ、学習支援をしてくれるところ、学童保育とあまり変わらないところなど色々です。ただ障害児向けですので職員数に対して受け入れ人数も少なく決められており手厚くみてくれます。

事業所によって小学生がほとんどのところや中高生もいるところなどの違いもあるようです。

都会の場合はよく知らないのですがうちのような地方の場合、放課後デイの多くに送迎がついており、学校まで車で迎えに来てくれて、終わった後は自宅まで送ってくれます。土曜日なども自宅まで迎えに来てくれます。

わが家も今ふたりとも放課後デイにお世話になっています。家と学校以外のサードプレイスとしていい居場所になっています。

 

<障害児相談支援>

相談支援事業所と契約をして、福祉サービスや医療や学校との連携などさまざまな相談に乗ってくれ、子供のための支援計画をたててくれます。放課後デイサービスなどを利用する際に福祉事務所に提出しなければならない支援計画書を作ってくれます。(自分で作ることも可能)うちも今までは自分で作成していましたが、最近事業所と契約をして色々相談に乗っていただいています。必要な福祉サービスを探すお手伝いもしてくれています。

 

地域生活支援受給者証

日中一時支援や移動支援を受けることができます。

こちらも通所受給者証と同じく利用料の1割負担で、月額利用料の上限も世帯収入によって決められています。

取得は福祉事務所での聞き取りのみ(日常生活でどれくらいのことができるかできないか)で、医師の意見書や診断書は必要ありませんでした。(自治体によって違う可能性もありますので詳しくはお住まいの福祉事務所にお問い合わせ下さい。)

日中一時支援のタイムケアを利用する場合は保護者の就労証明が必要になります。自営業の場合は自分で書くことができます。

 

<日中一時支援> 

日中一時支援は障害児(者)と暮らす家族の就労支援や休息、障害児(者)の日中活動の場を支援する目的の施設です。障害児向けのところは放課後デイサービスと併設したところも多くあります。

日中一時支援はレスパイトとタイムケアの2種類に分かれており、レスパイトは家族の休息のため、タイムケアは家族の就労支援です。預かる施設やサービスの内容は同じですが、どちらを取得するかによって利用できる日数が変わります。

わが家はタイムケアをとっており月の利用日数は最大23日になっています。レスパイトの場合は月8日。これも自治体によって違いがあるかもしれません。

うちの子が通う放課後デイは日中一時支援も併設しており日数を合算して使っています。同じように送迎もあります。ただし事業所の中では使える部屋が分かれています。

 

 <移動支援>

ひとりで外出することが困難な場合にガイドヘルパーをお願いすることができるサービスです。これは自治体によって対象となる障害種別が異なるのですが、うちの自治体の場合は手帳のない発達障害児でも取得することができました。

ただし通勤や通学などに利用することはできません。社会参加活動や余暇活動に利用することが出来ます。病院に付き添ってもらったり、買い物をしたりする場合にお願いできます。月の利用時間の上限が決められており、こちらも利用料の1割負担で所得に応じて上限があります。

わが家の場合は子供の電車利用の練習に付き添ってほしくて移動支援を取得したのですが、地方のためか、移動支援をやっている事業所は高齢者対象(車移動)がほとんどで、場所や時間の条件が折り合わず受けてくれるところが見つかりませんでした。

 障害福祉サービス受給者証

障害児施設への短期入所(ショートステイ)や訪問系サービス、生活介護・自立訓練・就労移行支援、施設入所などに使える受給者証です。こちらも福祉事務所で取得できました。

わが家はまだ子供が小さいため、ショートステイだけをとっています。大きくなれば就労移行支援なども使うかもしれません。

母子家庭で私が病気をもっているため、もしもなにかあって急遽入院などが必要になった場合、子供を預ける場所を確保するために取得しました。事前に事業所と契約しておけばいざというときに助かります。

思春期に入り親子関係が難しくなり一時的にクールダウンのため離れるためにも使うこともあるかもしれません。

 

 自立支援医療受給者証

精神科医療に半年以上継続してかかっている場合に取得することができ、保険証と一緒に提示することで自己負担1割で精神科医療を受けることができます。診察だけでなく薬や病院での療育も対象です。成人も対象です。こちらも世帯収入により月額自己負担上限がきまっています。取得には医師の診断書が必要です。(小児科など他の科は対象外)

診断書には数千円の費用がかかるため、発達障害児だと継続して診察、薬などが出されている、もしくは病院の療育を受けているなどである程度費用がかかっている場合に取得しておくと助かります。更新は毎年ですが診断書の提出は2年に一度です。

特にADHDでストラテラが処方されている場合、薬価がとても高いので取得して損はありません。

自治体によって子供に対する医療が無料だったり軽減されている場合は必要ありません。

うちは途中から自治体が小学生まで1割負担に変更になったため、現在は自立支援医療受給者証をもっていません。それまでは毎月の診察に薬に療育と病院にかかっていたのでとても助かりました。

うちの自治体ではこれは福祉事務所ではなく保健センターでの申請でした。

nanaio.hatenablog.com

 

福祉サービスや事業所の探し方

福祉事務所にいってもなかなか向こうからこういう福祉サービスはどうですか?と言ってくれることはまずありません。ご自分のお子さんに必要な福祉サービスはなにか、住んでいる自治体にどんな福祉サービスがあるのか、自分で調べる必要があります。

そんなときに便利なのが福祉事務所にある「障害者のしおり」(名前などは自治体によって違うと思うので障害者サービス一覧のようなものはないかと聞いてみてください)

各種福祉サービスの対象者や概要、登録された事業者一覧などが載っている冊子です。自治体のウェブサイトにも載っている場合があります。

受給者証を取得したあとも契約する事業所を探すのにとても便利。ただし新しい事業所は載っていない場合もあります。

各種福祉サービスの事業所は、タイプも質も様々。是非お子さんと一緒に見学をして合いそうな場所を見つけてみてください。合わなければ他に変えることもできます。

対象者の概要で対象外かな?と思っても一応聞いてみると実は対象だったということもあります。うちの自治体の場合、移動支援の対象者は

「外出時に移動の支援が必要な視覚障害者(児)・知的障害者(児)・下肢体幹障害単独で1~4級の身体障害者(児)・精神障害者(児)」

と書いてあります。ぱっとみ手帳を取得していないと対象外のように見えますよね?しかし、手帳のランクが書いてあるのは下肢体幹障害単独の身体障害者(児)だけで、その他は手帳の有無について書いてありません。これについて聞いてみると最初は手帳保持者だけといわれましたが、後ほど調べてみると対象だった(精神障害児に該当)ということで移動支援をとることが出来ました。窓口の人も全てを知っているとも限らないのです。

なので必要な支援については使えるかどうかダメ元で聞いてみることをお勧めします。

 自治体によっては手続きや地域資源の違いがあるでしょうが、おそらくほとんどの地域でこれらの福祉サービスを使えると思います。知的障害などを伴わないため手帳を取得できずに支援を諦めていた発達障害のお子さんでも、助けてくれる福祉サービスはいろいろあります。是非、諦めずに探してみてください。

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苦手なことへの取り組み方 スモールステップ実践例

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受動型で不安の強いタイプの自閉症スペクトラムである息子は自分で出来ると自信がない限り、なかなか新しいことに挑戦しようとしません。

得意なことがある反面、苦手なことも数多く抱えています。

今でも苦手なことは色々とあるのですが、ちょっとした工夫ですごく苦手だったことがあっさり出来るようになったことがありました。

息子のような特性だと、本来出来る能力を持っているのに不安や自信のなさから避けたままのことがあります。そういう場合にはとても有効な方法だと思います。

ADHDの娘にも、やる気がないとき、興味を持ちにくい新しい概念を学習するときなどに使っています。

苦手で出来ないことにも理由は様々。感覚過敏や学習障害など特性が大きく絡んでいることは、その原因に対してのアプローチが先になります。

小さいお子さんや特性によっては自分の困難を言語化しにくい場合も多いので、原因を探ることはなかなか大変ですが、スモールステップで手順を細分化していくとどこで躓いているのかが見えやすくなります。

躓きポイントがわかればそこから原因も探りやすいですし次の対応につなげられます。

 

小さい時の息子は人のいる遊具に近寄ることもできず、一人で遊んでいたところにたくさんの子供たちがあとからやってきて遊具の上で身動きが取れず泣き出したこともありました。

ブランコ、滑り台などは好きだったのですが、なぜか鉄棒だけは人がいなくても全く近寄ることが出来ませんでした。

触ったこともない、もちろん失敗したり怖い体験をしたわけでもないのになぜか絶対に近寄りません。

就園前に通っていた母子通園のデイサービスで公園に遊びに行った時に、鉄棒にぶら下がってみようという課題が出されました。

当然嫌がりましたが、抱きかかえて無理やり鉄棒を握らせただけでした。

(今から思えば無理やりというのはよくない対応でした・・)

そんな鉄棒キライの息子でしたが年中(4歳児)の時に通ったグループ療育で、なんとあっさりと苦手をクリアでき、その後鉄棒大好きに変身した経験があります。

「うちの子、なぜか鉄棒に近寄ることも出来なくて・・」と相談したことから課題の中に取り入れて下さいました。

そのやり方を見て、なるほど、スモールステップってここまでやることなんだな、ととても勉強になりました。

今日はその息子が鉄棒を出来るようになった方法についてのお話です。鉄棒などの運動に限らず、どこまでスモールステップにすればよいのか、他のことにも考え方として応用が出来ることだと思います。

 

1.トークンを用意する

トークンとはご褒美のことです。息子の場合はスタンプカードを用意していただいていました。ひとつの手順が出来たら数種類の中から好きなスタンプを押してもらえます。

手順の数だけマスが設けられています。

このトークンはお子さんのタイプや年齢によっていろんなご褒美にするのもよいと思います。おやつや、スタンプがたまったら何か買ってあげるなどもモチベーションになります。

スタンプや物でなくても、ハイタッチや抱きしめてあげるのもよいでしょう。

苦手度によってトークンを設定するのがよいと思います。

 

2.最初は触るだけからスタート

最初のステップは鉄棒を手で触るだけ。まずは先生がお手本で、鉄棒に触るだけでOKとスタンプを押しに行きます。

そのあとに子供たちも次々と鉄棒に触りスタンプを押しに。

お手本で見通しも立つので息子もこれだけでいいなら、と躊躇なく鉄棒に触ることが出来ました。

スモールステップの最初の段階では、本人の能力的に絶対出来ることから設定し、それが評価されることが大事なんだなぁと思いました。

これだけなら出来る→出来た→褒められた の経験が次に繋がります。

 

3.鉄棒を握ってみる

鉄棒の握り方、親指は他の四本指と反対の方向でぐっと握るとお手本を見せながら教えてもらいます。

これ、小さいお子さんだと親指を他の指と同じ方向に向けてひっかけてるだけというパターンは結構あるようです。

正しい握り方で鉄棒をぐっと握るだけで2つめのスタンプがもらえます。これも難なくクリア。

 

4.鉄棒を握っておなかにあてる

次のステップは鉄棒を握っておなかにぴたっとくっつけるだけ。これもクリア。

ここまでくれば本人も自分でもできると安心して取り組んでいます。

 

5.その後のステップ

その後は、鉄棒を握り、おなかにぴったりくっつけ、頭を下げるステップ、

次は、頭を下げて足を浮かせる、

その次はいよいよくるんと前まわり。先生の補助が入ります。

最後に先生の補助なしで一人で前まわり。

なんと、今まで近寄ろうともしなかった鉄棒が、わずか1時間足らずで一人で前まわりができるようになりました!

正直びっくりしました。息子の顔はとても誇らしげでした。

その後は幼稚園でも自分から鉄棒で遊び始め逆上がりにもチャレンジしていました。

 

なぜあんなに鉄棒に対して苦手感を持っていたのかは今でもわからないのですが、

こうして本当に細かく細かく刻んでいったことで息子の不安も取り除かれ出来るようになったのだと思います。

 

自宅で応用していること

やる気がなくてなかなか宿題に取り掛かれない、気が散って進まない、ADHDをもつ娘はよくあることです。

まずは準備が出来たらハイタッチ、一文字かけたらハイタッチ、次は2文字、ととりあえずやってみる、ひとつずつ出来た体験とご褒美でだんだんスイッチを入れていっています。

別の時はキッチンタイマーを使い、まずは3分間セット。その時間でどれだけ出来たかを記録してきます。やる気が極端にないときは1分から。徐々にスイッチが入り記録が伸びてくると益々エンジンがかかります。

注意散漫がある場合は短い時間、すぐ手の届くご褒美はとても効果的です。

ただ、娘は同じやり方はすぐに飽きてしまうのでパターンを多く持つことが必要となってきます。

慎重な息子の場合は課題設定などがないかぎり苦手なことにまず自分から挑戦しようとしませんので、出来るだけ興味を持たせる仕掛けを優先し、スモールステップで成功体験から進めるようにしています。

 

苦手に取り組む上で大切なこと

発達に凸凹があると苦手なことも数多く現れてきます。

成長の段階で見えてくる場合も多々あります。

苦手なことに取り組む上で大切なのは、そのお子さんが取り組むものに対して十分な発達段階にあるかどうかを見極めることだと思います。

産まれたばかりの赤ちゃんを歩かそうとしても無理なのと同じで、発達段階がそこに達していないことはいくらスモールステップにしても出来ません。

年齢が何歳だから、周りの子はこれくらい出来ているからという基準ではなく、個に対応することが大切です。

 

本人がへこたれないチャレンジャータイプ(うちの娘)だとか、意欲を見せたときなどはとりあえずやらせてみるのはいいですが、慎重なタイプ、失敗でパニックになるタイプ(うちの息子)だとスモールステップでまずは成功体験を積める範囲の挑戦にしたほうがよいと思います。

これは家庭学習についてのツイートです。学びも個のレベルや理解しやすい特性を掴むこと、苦手なことは特に出来るという体験から面白さを感じることが大切だと思います。

 

これはディスカリキュア(算数障害)で計算は苦手だけども数の概念には天才的な能力を持つ人もいるというお話からのツイートです。

何かが出来ない理由には様々な特性やタイプが絡んで関係しているように思います。

今、うちの息子は絵と作文の困難で生活科の観察日記の課題に苦労したり、数学の家庭学習で証明問題が答えは口で説明できても順序だてて説明する式が書けない、などの壁にぶつかっています。

今までの経過や検査、主治医と話したりしながら、息子が作文や絵ができない理由が見えてきました。書字障害の傾向があるのかと思っていましたがどうやら別のところに理由があったようです。

このことはまた別の記事にしたいと思います。

こちらの苦手も息子の発達段階を踏まえてスモールステップで挑んでいこうと思っています。

 

狭い我が家でも作れたクールダウンスペース。余計な刺激がカットされ集中もしやすいです。

狭いところが落ち着くというお子さんは多いみたいですね。うちの子たちも大好きです。

発達障害の子の立ち直り力「レジリエンス」を育てる本 (健康ライブラリー)

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発達障害かも?子供の発達が気になったらどこに相談したらいい?

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子供の発達が気になる、発達障害かもしれない。

そんな不安を抱えてこのブログにこられる方も多いと思います。

私自身も疑問を持ちながら検診で相談しても問題ないといわれ、なかなか専門機関へ繋がることができず途方にくれていました。

コメントで専門医を知りたいと書き込んで下さった方がいらっしゃいました。

今日は地域での相談できる専門機関の探し方について、どんな診察や検査をするかについて書きたいと思います。

 

最初にどこに相談すればいい?

 相談機関の体制については非常に地域差があり、全国一律に同じとはいきません。

公立の療育センターがあるところもあれば、直接病院にかかるところもあります。

しかし、相談窓口として全国に「発達障害者支援センター」「児童相談所」「子育て相談窓口」があります。

全国の発達障害者支援センター

www.rehab.go.jp

 「発達障害者」と名前はついていますが、まだ診断がついていない、現在不安に思っている小さなお子さんの保護者の方でも、相談支援や発達支援など行っています。

必要であれば教育、医療などの専門機関へ連携支援も行われています。

 

全国の児童相談所

www.mhlw.go.jp

 児童相談所といえばニュースでよくみかける虐待児保護のイメージですが、児童(0歳から18歳未満)の子供に対する様々な相談に応じてくれる場所です。子供の発達に関わる悩みにも対応しています。必要であれば発達検査なども行われています。

知的障害を伴う発達障害と診断されて「療育手帳」をとる場合、判定は児童相談所で行われます。

※療育手帳は様々な福祉を受けることができる障害者手帳の一種です。自治体によっては知的障害あるなしに関わらず療育手帳を取得できる場合があります。療育手帳は自治体独自の発行ですので判定基準も地域によって違いますし、違う名前がついている場合もあります。

 

自治体の子育て相談窓口

子育て相談窓口は各地域の「保健センター」などにあると思います。

それぞれの相談窓口から必要であれば専門機関へ紹介をしてもらえます。

我が家の場合は保健センターから巡回の保健師さんが来てくださり専門機関へ繋がることが出来ました。

保健センターでは1歳半検診、3歳児検診なども行われており、そこで発達に困難を抱えている子供を早期発見し相談機関に繋げることもあります。

しかし身体、知的、言語などの発達に問題がない場合はそのチェックから漏れてしまうことも。うちは検診では問題なしといわれていました。

(息子の場合は3歳検診以前に病院で診断がついていましたが、1歳半検診では言語の遅れがあったにも関わらず何もいわれませんでした。)

うちの娘の場合は3歳児検診の時点で私はADHDを疑っており、希望して別室相談をうけましたがただの性質で発達には問題がないとされました。

その後専門医に繋がることができ、様子見もグレーゾーンも言われず一発で確定診断がついたほどはっきりくっきりADHDとアスペルガー症候群である娘でも、そのようなことがあります。

担当された保健師さんによっても知識やスキルのばらつきがあるでしょうし、保護者の方の納得がいかなければ他の相談窓口に行ってみるというのもひとつの方法です。

 

相談したらそのあとどうなるの?

お子さんの状態、保護者の方からの聞き取りによって支援が必要であれば療育センターや専門医を紹介してもらうことができます。

私の居住地では公の療育センターはなく病院に並立したところばかりですので経験はありませんが、療育センターでは臨床心理士さんなど専門の方々がいらっしゃいます。

お子さんの様子、保護者の方から生育歴などの聞き取り、発達検査といって知能テストのようなものを行い、それによって必要とされれば心理、言語、作業などお子さんに合った療育を受けることが出来ます。

療育ではお子さんの成長を促すためにそのお子さんの発達段階に合ったかかわり方や楽しい遊びを交えたトレーニングが行われます。

療育には療育センターなどで行われるものと、民間の児童デイサービスで行われるものがあります。個別で行われるもの、グループで行われるものがあります。

児童デイサービスも福祉事務所で手続きをし「通所受給者証」を取得することが出来れば1割負担で通うことができます。

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正式な診断や投薬治療が出来るのは医師だけですので必要な場合は専門医に紹介されます。

うちの場合は保健センターからの紹介で専門医にかかり、そこからの指示で療育を開始しました。

 

専門医を探す

相談窓口から専門医を紹介していただけると思いますが、なかなかそこまでたどり着けないなどで、直接専門医にかかりたい方もいらっしゃると思います。

先ほども書きましたように、正式な診断や投薬治療が出来るのは医師だけです。

児童精神科医は非常に少ないといわれており、探すのも大変。

日本小児神経学会のサイトに全国の小児神経専門医一覧があります。

小児神経専門医のいる全国の病院・施設

こちらから調べれば見つかると思います。

ここに載っていない病院でも発達障害に詳しいところもあります。

(うちは二つの病院にかかっていますが、娘が現在療育に通っている病院の名前は載っていませんでした。)

ただし、だいたいどこも予約でいっぱいの状況だと思われ、半年待ち1年待ちという場合もあります。

うちの子供たちがかかっているところでも初診は半年待ちです。うちは投薬があるので毎月かかっていますが、定期的な発達検査などは半年以上前に予約が必要です。

 

もし発達障害と診断がついたら

あまりに小さいうちは正確な診断がおりず様子を見ましょうといわれたり、グレーゾーンといわれることもあるでしょう。4歳ごろに診断がつく場合が多いようです。

かわいいわが子が障害であると告げられても、なかなか簡単に受け入れられることではありません。

私は娘のADHDをほぼ確信をもって診断に望んだのですが、思ってもいなかった自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)もついていてその場で泣き崩れてしまいました。

診断がついても受け入れられるまではしばらく時間がかかるかもしれません。

しかし、診断がつこうがつくまいが目の前のわが子になんの変わりもありません。

子育てに行き詰まり限界まで来ていた当時の私は、診断がついたことでこの子に必要な対応や支援に繋がることができ、本当に親子共々救われました。

発達障害は発達しない障害ではなく、発達の仕方に凸凹があるということ。

早い遅いと特性はありますが、適切な関わりや支援を行うことで必ずその子なりの成長をしていきます。

できるだけ早期にその子に合ったサポートをしていくことにより学校や社会への適応を進めることも可能なのです。

最近では大人の発達障害も話題になっていますが、発達障害の特性を持ちながらも自立し社会で活動されている方はたくさんいます。

現在小学生のうちの子供たちも将来はどうなるかはまだわかりませんが、

今のところ娘は通常学級、息子は支援学級で毎日学校に通い、自分の得意や好きなことを伸ばしていけていると思います。

苦手なことやサポートが必要なことも子供の特性をつかみ学校や専門機関と連携することによってひとつひとつ前に進んでいます。

発達障害と一言でいってもその特性は本当に様々。うちも娘と息子では全く違った特性を持ちます。同じやり方では通用しないことも多いです。

大切なのはお子さんの状態や特性を知ること。

子供の行動には必ずなんらの理由があると私は考えています。

状態や特性を把握することでその理由をさぐり、対応策を考えることができます。

療育や専門家の方々が一緒に支えて下さいます。

診断をきっかけにしてお子さんの特性を知ることは

お子さんの成長を助けるための第一歩となると私は思っています。

前向きに考えられるようになれば是非お子さんに合ったサポートを探してみてください。

ココロとカラダほぐしあそび―発達の気になる子といっしょに (Gakken La pomme Books)

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 こちらの本は幼児期の療育でも取り入れられている楽しい遊びがいっぱい載っています。

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合理的配慮が学校を変える!

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平成28年4月1日より「障害者差別解消法」が施行されます。

この中にある「合理的配慮」は、障害を持つ人々に対して必要な環境整備などの配慮を行うということ。

それにより、発達障害児をとりまく学校環境が大きく変えられるのではないか、その他多くの子供たちにとっても変化をもたらすのではないかということについて書きたいと思います。

簡単に言えば今まで配慮を求めても「前例がない、特別扱いできない」などと断られていたことが、配慮しないのは法律違反ということになりかねないのです。

「合理的配慮」の否定は障害を理由とする差別になるのです。

ただし、均衡を失した又は過度の負担を課さないものという条件があります。

法律のことなので難しい文言が並びますが、来年度よりお子さんにとってよりよい学校環境を求める上で非常に大切なこととなってきます。

この新しい法律が施行されても、こちらから意思表示がないことには勝手に変わるということはなかなか難しいと思います。知っている上で意思表示することが重要になってきます。

是非、発達障害児をはじめとする多くの困難を抱える子供の保護者の方々に知っていただきたいと思っています。

参考資料も多く、長い文章になりますがお付き合い下さい。

 

合理的配慮とは

2006年に国連で採択された「障害者の権利に関する条約」に、日本は2007年に署名しました。この条約は、障害者への差別禁止や障害者の尊厳と権利を保障することを義務づけた国際人権法に基づく人権条約です。

これにより整備された国内法が「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(障害者差別解消法)です。

障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号) - 内閣府

この中には「発達障害を含む」と明記されています。

こちらの第三章七条に合理的配慮について書かれています。

2 行政機関等は、その事務又は事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をしなければならない。

行政機関の中には公立学校も含まれ、合理的配慮は義務となります。

私立学校や民間企業の場合は「合理的な配慮をするよう努めなければならない」と努力義務になっています。

この法律が効力を発揮するのが2016年4月1日となるのです。

 

じゃ、その「合理的配慮」ってなんなの?ということですが、学校においては文部科学省のサイトにこのように書かれています。

1.障害者の権利に関する条約における「合理的配慮」

(1)障害者の権利に関する条約「第二十四条 教育」においては、教育についての障害者の権利を認め、この権利を差別なしに、かつ、機会の均等を基礎として実現するため、障害者を包容する教育制度(inclusive education system)等を確保することとし、その権利の実現に当たり確保するものの一つとして、「個人に必要とされる合理的配慮が提供されること。」を位置付けている。

(2)同条約「第二条 定義」においては、「合理的配慮」とは、「障害者が他の者と平等にすべての人権及び基本的自由を享有し、又は行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、特定の場合において必要とされるものであり、かつ、均衡を失した又は過度の負担を課さないものをいう。」と定義されている。

2.「合理的配慮」の提供として考えられる事項

(1)障害のある児童生徒等に対する教育を小・中学校等で行う場合には、「合理的配慮」として以下のことが考えられる。

(ア)教員、支援員等の確保
(イ)施設・設備の整備
(ウ)個別の教育支援計画や個別の指導計画に対応した柔軟な教育課程の編成や教材等の配慮

資料3:合理的配慮について:文部科学省

「均衡を失した又は過度の負担を課さない」限りは、申し出のあった合理的配慮を行わなければならないということです。このあたりも解釈が難しいですね。

インクルーシブ教育の推進とも関係してきます。

具体的にどういう合理的配慮が行われる可能性があるかについてはこちらに書いてありました。

別紙2 「合理的配慮」の例:文部科学省

発達障害に関係するところを抜粋引用します。

 .共通

  • バリアフリー・ユニバーサルデザインの観点を踏まえた障害の状態に応じた適切な施設整備
  • 障害の状態に応じた身体活動スペースや遊具・運動器具等の確保
  • 障害の状態に応じた専門性を有する教員等の配置
  • 移動や日常生活の介助及び学習面を支援する人材の配置
  • 障害の状態を踏まえた指導の方法等について指導・助言する理学療法士、作業療法士、言語聴覚士及び心理学の専門家等の確保
  • 点字、手話、デジタル教材等のコミュニケーション手段を確保
  • 一人一人の状態に応じた教材等の確保(デジタル教材、ICT機器等の利用)
  • 障害の状態に応じた教科における配慮(例えば、視覚障害の図工・美術、聴覚障害の音楽、肢体不自由の体育等)

 (中略)

4.知的障害

  • 生活能力や職業能力を育むための生活訓練室や日常生活用具、作業室等の確保
  • 漢字の読みなどに対する補完的な対応

(中略)

7.言語障害

  • スピーチについての配慮(構音障害等により発音が不明瞭な場合)

8.情緒障害

  • 個別学習や情緒安定のための小部屋等の確保
  • 対人関係の状態に対する配慮(選択性かん黙や自信喪失などにより人前では話せない場合など)

9.LD、ADHD、自閉症等の発達障害

  • 個別指導のためのコンピュータ、デジタル教材、小部屋等の確保
  • クールダウンするための小部屋等の確保
  • 口頭による指導だけでなく、板書、メモ等による情報掲示

具体的な配慮としてどのようなものが考えられているか障害種別に細かく書かれたものがこちらになります。

合理的配慮等環境整備検討ワーキンググループ 報告 別表:文部科学省

 

学校における合理的配慮の定義や、決定までの流れ、具体的な支援や指導についてはこちらに詳しく書かれています。

合理的配慮等環境整備検討ワーキンググループ 報告:文部科学省

 

具体的にどんな配慮をお願いできる可能性がある?

  なんだかんだと難しいことを書いてきましたが、

・学習障害(LD)がある場合、電子教科書などタブレットを使った学習を学校で行いたい

・聴覚過敏があるのでデジタル耳栓やイヤーマフを使いたい

・板書に困難があるのでデジカメやスマホやタブレットなどで写真を取ることで代用したい

・特性上繰り返しが苦手なので宿題を軽減してほしい

・アレルギーではなくても嗅覚過敏味覚過敏で食べられないものを給食で強制しないでほしい

・触覚過敏や感覚過敏があるので制服・体操服などを別のものでも許可して欲しい

 

などの障害特性を理由とする要求に対して公立の学校であれば配慮しなくてはならない義務になるということです。(私立の場合は努力義務)

もちろん、子ども自身の状態やスキル、本人の意思、それに対する評価、今後の見通しや成長する上での課題などを学校と話し合いで合意に達する必要があります。

家で困難なことも学校なら出来ている場合もあるでしょう。担任の先生や支援コーディネーター、外部の専門家などと今お子さんに必要な支援は何かをしっかり話し合う必要があると思います。

今までだと「前例がない、他の子の手前特別扱いは出来ない、管理の問題がある」と学校から断られることも多かった事例だと思います。

 ただし『「合理的配慮」の決定・提供に当たっては、各学校の設置者及び学校が体制面、財政面をも勘案し、「均衡を失した」又は「過度の」負担について、個別に判断することとなる。』とありますので、負担がかかるものに関しては相談していく形となるのでしょう。

上記の例の場合、IT機器に関しても持込であれば学校側に過度の負担とはならないですし(と私は解釈しています)、認めないわけにはいかない、そして適切に管理する義務もあると思います。

「デジタル機器の確保」が合理的配慮の例にも上がっていますので、予算をつけてもらい学校に準備してもらうことも考えられるかもしれません。

そして特別扱いと思われないよう他の生徒の理解を求めたり配慮や学級運営も学校側に必要となってくるでしょう。

合理的配慮は特別扱いではなく、他の子供たちと同じように障害のある子供たちの学ぶ権利を保障するためのものです。

視力に困難のある子供が眼鏡をかけるのと同じことなのです。

 タブレットなどデジタル機器を通常学級で活用する際の参考資料として、文部科学省が筑波大学に委託し作られた「発達障害のある子供たちのためのICT活用ハンドブック(通常の学級編)」があります。

http://www.gakko.otsuka.tsukuba.ac.jp/wp/wp-content/uploads/2014/03/7d7182720744591a8e17e444a24c15911.pdf

こちらには導入事例だけでなく、教室での管理、学級運営に際しての留意点などが書かれており、全ての学校の先生方に目を通していただきたい内容です。

 子供たち一人一人の個性を認め合える学級作りが必要です

皆同じ → 皆違う、違っていい、違っていることが自然である

 学級の子供たちが「皆同じ」ではなく、一人一人の子供が異なる機器や手立てを使えるように、「皆違っていい」ということを教えていくことが大切です。
 同じ物を使う、という平等さから、「それぞれが元々違うのだから違って当たり前」という考え方への転換をしていかなければなりません。

 通常の学級にいる子供たちは学習スタイル(学習のしやすい感覚や処理様式)が皆異なります。それぞれの子供が、自分の学習スタイルに合ったやり方で学習内容にアクセスできるようにすることがよいのです。
 ICTの活用は、教材教具としてのレパートリーや文具としての簡便さを増やし、子供が自分の力を十分に発揮できる環境を作りやすいという点で、非常に効果的であると考えられます。

 

合理的配慮が一般的になれば

障害者差別解消法にも「障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において」との記述がありますから、こちらから意思表明をしなくてはなりません。

これに関してはつぶやいたあとに気付いたのですが、大人しい息子は目立つことをしたがらないのでたぶん本人が嫌がるかなと・・。本人が嫌がる以上無理強いはできません。

 障害者差別解消法の施行に伴い、多くの保護者が合理的配慮を求めるために学校と話し合いをすることができれば、私は学校自体が変わるのではと期待しています。

一度に変えることは学校にとって大きく負担となるでしょうし無理かもしれませんが、一歩一歩前に進むことはできると思います。

今の私の子供たちの支援体制があるのは先生方、専門家の方々、先輩保護者の方々が努力の賜物だと思っています。

それをもう一歩前に進めたい。今の子供たちのためにも、後に続く方々のためにも。

障害特性を理由に学校に配慮を求めたい保護者の方々、一度お願いしたけども断られた方も、来年度の施行を機に学校に意思表示をしてみませんか?

学校と保護者はともに子供の育ちを支えていくものですし、出来れば良好な関係を保ちたいものですよね。

学校と合意できるよう穏便に交渉を進められればいいなぁと思っています。

私は配慮をお願いするときに文部科学省など今回の記事にリンクを貼った合理的配慮に関するサイトを印刷し持参して学校とお話できればと思っています。

学校の先生方はこの件に関して研修等されていらっしゃることと思いますが、どの程度解釈の違いがあるかわかりませんし、こちらがこの法律に関して知っているとわかってもらえれば話もスムーズに進みやすいかもしれません。

 この「障害者差別解消法」は小学校中学校だけでなく、公立の学校なら大学でも義務ですし、幼稚園保育園など私立の場合でも努力義務になります。

そして民間企業にも同じく努力義務があります。成人当事者の方にも関係のある話です。

できれば多くの障害児・者に関わる方々に合理的配慮について知っていただきたいと思います。

親の会などに参加されていらっしゃる皆様、ぜひとも周りの方々へ合理的配慮についてお知らせ下さい。

文部科学省などリンクしたサイトを印刷しても、こちらのブログをお知らせ下さっても嬉しく思います。

いま困っている多くの子供たちが、合理的配慮によって快適な学校生活を送れるよう願っています。

※今回リンクしたサイトを再度まとめて

障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号) - 内閣府

資料3:合理的配慮について:文部科学省

別紙2 「合理的配慮」の例:文部科学省

合理的配慮等環境整備検討ワーキンググループ 報告:文部科学省

合理的配慮等環境整備検討ワーキンググループ 報告 別表:文部科学省

http://www.gakko.otsuka.tsukuba.ac.jp/wp/wp-content/uploads/2014/03/7d7182720744591a8e17e444a24c15911.pdf

(発達障害のある子供たちのためのICT活用ハンドブック)

※合理的配慮の個別事例がどうなるかについてご質問いただいても私はいち保護者ですのでお答えすることができません。上記リンク先を熟読いただき、学校および専門家の方々にご相談下さい。

合理的配慮をお願いするにあたって具体的にどうすればよいのか続編を書きました。合わせてご覧ください。

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 この記事にいただいたコメントに対してお返事を記事にいたしました。あわせてどうぞ。

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知的障害・発達障害のある人への合理的配慮

知的障害・発達障害のある人への合理的配慮

 

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発達性協調運動障害 不器用な理由はこれだった

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多動でとにかく活発に動き回る娘。運動は得意なんだろうなぁと思っていました。お風呂でもイルカのようにもぐってぐるぐる暴れるし泳ぎも得意だろうと。ところが小学校に入ってみると体育の成績がいまひとつ芳しくない。泳げない。アレ?

他にも蝶結びがなかなか出来ない、髪の毛を自分でくくれない、不器用で出来ないことが数多くあります。

小さい頃、寝返りをうつ、歩く、しゃべるなど身体的な発達の遅れはまったく見られなかった娘ですが、動きに関してなんか妙だなーと思うことはしばしばありました。

 

発達性協調運動障害とは

発達性協調運動障害(DCD: Developmental Coordination Disorder)とは

筋肉や神経、視覚・聴覚などに異常がないにもかかわらず、ボールを蹴る」「字を書く」などの協調運動に困難を呈する障害。発達障害の類型の一つとされる。
この障害を持つ人は、例えば「這(は)う」「歩く」といった乳幼児期の運動面の発達においてすでに、標準の月齢より遅れが見られる。学齢期には、いわゆる「不器用な子」「運動が苦手な子」として見られ、学業成績に影響を及ぼしやすい。また、同世代の子どもとの遊びについていけないといった社会的な困難も生じやすい。症状の程度によっては生活技能訓練を行い、社会生活への適応を促すこともある。
障害が表れる運動のタイプは、走ったり跳んだりといった全身運動(粗大運動)、はさみを使ったりボタンを留めたりといった手先の運動(微細運動)、スキップをしたり縄跳びをしたり楽器を演奏するなどの組み合わせ運動(構成行為)に分類されている。

発達性協調運動障害(はったつせいきょうちょううんどうしょうがい)とは - コトバンク

その他、現れ方は人それぞれですが発達性協調運動障害に見られる困難に

・字が汚い、マスからはみ出る、筆圧が適当でない

・消しゴムを使うと紙が破れる

・線がうまく引けない、はさみ、コンパス、定規などをうまく使えない

・箸やコップをうまく使えない、ストローで飲みにくい

・靴ひもが結べない

・言葉が不明瞭

・着替えが難しい

・トイレでお尻をきれいに拭けない

・楽器の演奏がうまくできない

・縄跳びなどがうまくできない

・階段の上り下りがなにかおかしい

などなど日常生活のありとあらゆる場面に困難が出てくる場合があります。

調べてみたところADHDや学習障害(LD)と併発する場合が多いそうです。

ツイッターでいつもお世話になっている臨床心理士の@dicegeistさんからどれくらいの割合で併発するのかおしえていただきました。

「不器用である」というのは発達障害児によく見られる特性のひとつとして知られていますが、一般の方にとってみればADHDで多動がありよく動くにもかかわらず運動機能に困難があるとはなかなか理解されにくいものだと思います。

学習障害のひとつである書字障害も脳の機能として微細運動に問題があるとは理解されにくく、ひたすら練習することで乗り越えられると考える人も多いのではないでしょうか。

「不器用さ」と他の発達障害との間には深いかかわりがあるからです。「場の空気が読めない」「こだわりが強い」「パニックを起こす」などの社会性の障害や「落ち着きが無い」「忘れっぽい」「授業中に立ち歩く」などの問題行動は、精神的なものであって、身体とは無関係だと思われがちですが、実は協調運動などの身体性と密接に関係しているのです。それを裏付けるかのように、近年、運動療法が「社会性の障害」「実行機能の障害」「学習能力」などを改善することが明らかになってきています。

「不器用な子どもたち」に理解と支援を | Connect-“多様性”の現場から | ハートネットTVブログ:NHK

社会性など発達障害のその他の特性と、身体的なものは密接に関係しており、身体に対するアプローチや支援は適応を進めていく上でも重要になってきます。

 

うちの子の場合

 うちの子供たちは寝返りを打つ、ハイハイする、座る、立つ、歩くはだいたい月齢の目安どおりでしたが、娘がつかまりだちをし始めて倒れるときにはいつもそのままぱたっと倒れて頭をぶつけていました。尻もちをつくということが全くなかったのです。頭をぶつけては大変と全く目を離せませんでした。

第一子なのでこんなものかなと思っていましたが下の息子は尻もちをついていたのでやっぱり変わってたんだなとあとで気づきました。

今思い出せば寝転んだ状態からお座りに体勢を変える途中も奇妙な動きをしていて当時はおもしろいな~と思っていました。

ハイハイをする時期が少ない場合も多いようですがうちの子はやっていました。高速ハイハイでだーーーっと移動していました。

歩くようになってからは多動のためそれはそれは活発で怪我の耐えない状態でした。1歳半の時、なにもない平らな道で転び、前歯を折ってしまいました。

そこでちょっと疑問に思いました。ふつう、転ぶときは前に手が出るので顔は強くぶつけないよな?と。まだ小さいからそういう反射神経は育っていないのだろうかと思いましたがそれが大きくなっても続いていました。

その後もベッドで暴れていて肘を骨折、治ったかと思えば椅子の上からダイブして同じく肘を骨折。その他も転んだら顔を擦りむいたり、手の甲を怪我したり明らかに反射的に手が出ていないだろうと思われる場所を怪我していました。

その他、力加減がONかOFFしかなく物をよく壊してしまいます。傘など最近までは使い捨てでした。コップも気が緩めば乱雑にどんと置いてしまうので周りに飛び散ります。

手先の複雑な作業も苦手です。蝶結びは10歳になる最近まで出来ませんでしたし、髪の毛を自分でくくることは今でも難しいです。

字は気合を入れればきれいに書けるのですが、学校の連絡帳などは書いた本人ですら読めない状態でした。宿題の字は踊っています。

運動もボールを使ったものが苦手。ドッヂボールなどはボールを見ながらよける、投げる、周りの人の動きを見てぶつからないようにするなどを同時にこなすことがおそらく難しいのだと思います。何度か顔にボールをぶつけられて帰ってきました。

水泳もいつもお風呂でもぐってぐるぐるまわっていたので得意とばかり思っていたのですがいざ小学校に入ってみると泳げません。もぐれるけど前に進まないのです。

手と足、呼吸、全てを合わせて動かすというのが難しいのかもしれません。

体育の授業を遠くから見たことがあったのですがひとりだけぴょこぴょこと妙な動きをしている子がいてすぐにうちの娘とわかるんですよね。集団を乱しているわけでもないのになんか動きが妙なので目立ちます。

これといってなにかが全く出来ないということはありませんが、なにかちょっと不器用で動きがおかしく苦手である、習得するのに人より時間がかかるということがたくさんあるのです。微細運動が苦手といっても手芸や工作は好きでよくやるし粗大運動に問題があっても縄跳びはできるなどばらつきがあるために見落としやすいと思います。

娘はおそらく微細運動、粗大運動、組み合わせ運動の全てにちょっとずつ困難を抱えています。息子の場合は微細運動に少し困難があり、書字やコンパスを使うなどに苦労しています。言語を理解していても発音が悪くなかなか言葉が通じなかったのも微細運動の問題だったのかもしれません。今でも滑舌は悪いです。

発達性協調運動障害にもそれぞれ現れ方や困難の程度に違いがあります。

 

どのように対応したらよいのか

方法として考えられるのは適切なトレーニングをすることと工夫や配慮などのサポートをすることです。

 私自身、この発達性協調運動障害という名前を知ったのは最近のことですが、娘の不器用さや反射神経のことは前から気にしており希望して作業療法を受けに行っています。

感覚統合というものも以前から興味を持っていました。

発達障害の子の感覚遊び・運動遊び 感覚統合をいかし、適応力を育てよう1 (健康ライブラリー)

発達障害の子の感覚遊び・運動遊び 感覚統合をいかし、適応力を育てよう1 (健康ライブラリー)

 

 息子の不器用さや発音の不明瞭さも気になって作業療法の評価を受けたり言語療育に通ったりしました。

しかし、いわゆる軽度と呼ばれる高機能域の発達障害児が作業療法を受けられる施設は非常に数が少ないと思われます。

家庭で出来る範囲の遊びを取り入れたトレーニングや配慮などもあります。

 運動障害があるといってもずっと出来ないままというわけではなくその子なりの発達をしていきます。その育ちをうまくサポートしていく方法はきっとあるはず。

「不器用さ」は、本人にも保護者にも、また専門家にすら脳の機能障害と理解されにくく、個人的な困りごととして周囲からの支援は受けにくいことがあります。その結果、保護者や教師から間違った対応がなされて、事態が悪化するケースがあることが問題となっています。

例えば、「縄跳びが飛べない」「縦笛が吹けない」「字をマス目に収められない」、そのような子どもに対して、教師も保護者も「練習が足りない」「怠けている」「何度も繰り返せば、必ずできるようになる」として、反復練習を強いる指導をしがちです。本来はていねいな説明と適切なサポートや合理的配慮を行うべきなのに、挫折感や屈辱感を与えるような訓練が繰り返され、結果として本人の自尊感情が大きく損なわれるという問題が発生します。最悪の場合、虐待、いじめ、体罰などのターゲットになり、感覚や運動レベルの障害にとどまらず、二次的な精神的な障害まで負うことになります。

「不器用な子どもたち」に理解と支援を | Connect-“多様性”の現場から | ハートネットTVブログ:NHK

なんで出来ないのかと闇雲に繰り返し練習を重ねさせるだけでは本人も挫折感を積み重ねるだけとなってしまいます。適切な支援が必要なのです。

対応については話が長くなりそうですので次の記事に書きたいと思います。

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発達性協調運動障害 トレーニングと配慮と工夫

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前記事の続きです。

今回は発達性協調運動障害(DCD)にどう対応していくかについて考えたいと思います。

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 うちの子供たちは今まで作業療法やグループ療育、通級指導教室を通じてさまざまなトレーニングを受けてきましたが、主に運動障害に対して行ってきたものを目的別に分けて考えてみました。

・感覚鈍磨に対する刺激を入れる運動

・バランスなど体幹筋肉を鍛える運動

・脱力のためのリラックス

・なわとび、鉄棒など具体的な運動のやり方指導と工夫

・楽器演奏など手先の微細運動に関わるやり方指導と工夫

刺激を入れる、体幹筋肉を鍛える、リラックスは続けていてもこれといって何かが目に見えて出来るようになるものではないですが、苦手を補うための体の基礎を作るものです。

特にADHDの多動児の場合、筋肉の使い方や感覚にもアンバランスがあるため、そのバランスを整えることで落ち着いたり日常の困難を軽減することにも繋がります。

お子さんが楽しく取り組める、気持ちよく取り組めるものを継続することが大切なのだと思います。

運動や手先を使うものも、教え方や練習のやり方次第ではすんなり出来るようになることも多くありました。

具体的に出来ないことに取り組むには、お子さん自身がそのことに対して自信を失っていることもあると思います。スモールステップで自信をつけながら進めて行くことが大切です。

私は専門家ではないので今まで受けてきた指導から、ご家庭でも取り組めるような形でご紹介したいと思います。

 

不足する刺激を入れる

ADHDのうちの娘には前庭感覚と固有感覚に鈍磨があります。

前庭感覚とは主に重力に関係する感覚でそれが鈍いとくるくる回ったりジャンプしたり重力に逆らう動きを過剰に好み、目も回りません。逆に前庭感覚が過敏の場合はブランコなどを嫌がったりするそうです。

固有感覚とは関節や筋肉の動きに対する感覚で、鈍さがあるために強く噛む、激しく動くなどを好み、力加減の調節が難しくなります。

娘の多動の原因の一つになっているようです。

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 この記事に娘が作業療法で受けた日本感覚インベントリー(JSI-R)の結果について書いています。

聴覚など感覚過敏があればその刺激を避けようとするのと同じように、感覚の鈍磨があれば不足する刺激を入れるために体を動かすのです。刺激が過剰なのも不足なのも本人にとっては不快な状態になってしまいます。

作業療法では広いスペースで大型遊具を使い思いっきり体を動かして不足する刺激を入れる時間を毎回とってくださっています。ブランコやトランポリン、バランスボールなどの遊具を使っています。

安全を確保できれば、これらの刺激を入れる運動はブランコや滑り台のある公園でも出来ます。

家では寝室は自由に暴れてよいスペースとしてあり、トランポリン代わりに跳ね回っています。安全確保のためにベッドはスプリングのみで高さがないため落ちても大きな怪我はありません。

家の中でも体を動かすための安全なスペースを確保することと(うちは狭いので寝室ですが)暴れてよいところ、暴れるときのルールをきちんと決めておくことで多動児もそれ以外の家族も快適に過ごすことが出来ます。

バランスボールは大型のものだと目を離すと危険なために家では小さいものを使っています。こちらの記事に小さいバランスボールの使い方を書いています。

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 固有感覚に関しては強い刺激を好むので爪や服や鉛筆に激しい噛み癖がありました。

爪噛みに関してはあまりに激しく自傷に近くなったので防止するためのマニキュアを使いました。これは幼児用のおもちゃにも使われる口に入れると強烈に苦い味がするものです。

マヴァラ バイターストップ/10ml

マヴァラ バイターストップ/10ml

 

 しかし足らない刺激を求めているわけですから爪噛みが治まってもまた別の行動が出てきます。噛んでもいいものを与えていくほうが本人にとっても楽なのです。

 首から提げていつでも噛むことが出来ます。なぜかうちの子はシリコン部分を噛み切ったあとに紐を噛むようになりました。噛み心地も人によって好みがあるようです。息子はシリコンの噛み心地が気に入ったようですが、最近カミカミグッズとして娘が気に入っているのが出汁昆布です。食べられる上に硬さが娘にはちょうどよいようです。体にもよさそうですし好きなだけ食べられるように置いています。

出汁昆布のおかげで最近では鉛筆も爪も噛まなくなってきました。カミカミグッズは市販品も多くあるのでお子さんに合った噛み心地を探してみるとよいかと思います。

 

体幹筋肉を鍛える・バランスを整える

体幹筋肉を鍛えるためにはゆっくりとした動きがよいようですが、なんせADHDで脳内多動もありゆっくりとした動きが苦手。遊びを取り入れながら楽しく取り組む課題をやっていました。

<壁タッチ>

壁際に置かれた30センチ四方ほどのマットの上に立ち、ぎりぎり届くかどうかのところ(上や横)にシールを張ってタッチしていきます。ルールはジャンプをしないこと、片足立ちでもOK。おうちでやるなら点数や絵を書いた付箋でやってもよいでしょう。ジャンプが出来ないのでゆっくり体を伸ばすことができます。

<輪投げキャッチ>

 マットの上で投げた輪を右手左手右足左足両手身体と指示された場所でキャッチしていきます。ルールはマットからはみ出さないようにするだけ。

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このように新聞紙で作ったものでもOK!

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足でもバランスをとりながら楽しくキャッチ

<輪投げ>

30センチ四方の小さいマットの上で、同じく輪投げを使いますが輪のほうをもち、的を色んな方向へ持って移動します。斜め後ろなどギリギリのところを狙って投げずに入れていきます。これは輪投げではなく人がギリギリのところに手をだしてタッチするでもよいです。上、下、前、後ろ、斜めなど色んな角度に手をだし順番にタッチ。足場は動かしません。

その他、小さいお子さんでしたら広げたタオルにボールを載せ、二人で落とさないようゆっくり運ぶなども療育でやっていました。

家ではお茶や汁物などをこぼさないようゆっくり運ぶお手伝いもよいです。

親子で楽しめる 発達障がいのある子の感覚あそび・運動あそび

親子で楽しめる 発達障がいのある子の感覚あそび・運動あそび

 

 こちらには家庭で取り組める運動遊びや感覚遊びがたくさん載っています。グループ療育でも似たようなことをやっていました。取り組み方やお子さんの対応方法まで丁寧に書かれています。

発達障害の子の脳を育てる運動遊び 柳沢運動プログラムを活用して (健康ライブラリー)

発達障害の子の脳を育てる運動遊び 柳沢運動プログラムを活用して (健康ライブラリー)

 

 

脱力・リラックス

筋肉や感覚のアンバランスから一部に負荷が集中し力をうまく配分できないために疲れやすかったり、うまくリラックスが出来ないことがあります。多動児によいといわれたリラックス体操(マッサージ)を行っています。

こちらの記事に動画で紹介しています。

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 このマッサージを行うととてもいい表情になり落ち着くようで、入眠前によくせがまれています。ここまできっちりしなくても気持ちいいようです。慣れるとうまく脱力出来るようになります。

 

具体的な運動のやり方指導と工夫

運動は基礎が出来ていれば指導の方法次第で出来るケースは多いようです。

うちも息子が療育で近寄ることも出来なかった鉄棒をマスターしました。娘も通級指導教室でなわとびや卓球、バトミントンなどの指導を受けて上達しました。

スモールステップで手順を出来るだけ細分化し、ひとつひとつ進めることで自信をつけていくことが大切です。こちらに息子の鉄棒の取り組みを書いています。

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なわとびは布製の少し重いものを使うと回しやすいです。真ん中にトイレットペーパーの芯で重りをつけても回しやすくなります。ジャンプの練習、片手になわとびを持って横で回しながら飛ぶ練習と少しずつ進めていくとよいでしょう。

もち手の長い縄跳びも飛びやすいようです。

アシックス(asics) クリアートビナワ ネイビー 91-130

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 ドラえもん学習シリーズにも体育があり漫画で楽しくコツを学ぶことができます。

ドラえもんの体育おもしろ攻略 マット、ボール、なわとび (ドラえもんの学習シリーズ)

ドラえもんの体育おもしろ攻略 マット、ボール、なわとび (ドラえもんの学習シリーズ)

 
てつぼう とびばこができる―ドラえもんの体育おもしろ攻略 (ドラえもんの学習シリーズ)

てつぼう とびばこができる―ドラえもんの体育おもしろ攻略 (ドラえもんの学習シリーズ)

 
ドラえもんの体育おもしろ攻略 水泳がみるみる上達する (ドラえもんの学習シリーズ)

ドラえもんの体育おもしろ攻略 水泳がみるみる上達する (ドラえもんの学習シリーズ)

 

 

 微細運動・手先のトレーニング

 手先は折り紙、切ったり貼ったりお絵かきしたり幼稚園などでやる遊びもトレーニングになりますが、最初はそれがなかなか難しい場合もあります。

 こちらの本は箸やストローの飲み方、ボタンのはめかた、服の着方、鉛筆の持ち方、ジャンプやスキップなど運動まで生活動作の教え方を一通り学ぶことが出来ます。

発達が気になる子への生活動作の教え方―苦手が「できる」にかわる!

発達が気になる子への生活動作の教え方―苦手が「できる」にかわる!

 

 作業療法で教えていただいた鉛筆の持ち方トレーニングはこちらの記事に書いています。

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 こちらの本には図解でお子さんが自分で見てもわかりやすく蝶結びのやりかたや箸の使い方、雑巾の絞り方など生活動作が学べます。

せいかつの図鑑 (小学館の子ども図鑑プレNEO)

せいかつの図鑑 (小学館の子ども図鑑プレNEO)

 

 小学校に入ってからは書字に困難が出てくる場合があります。

書字障害を含む学習障害の工夫はこちらの記事に書きました。

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 音楽の授業での楽器演奏。鍵盤ハーモニカやリコーダーでは苦労する場合も。

娘は通級指導教室で楽器演奏を個別指導してもらいましたが、リコーダーはうおのめパッドを張ったり、穴の周りに透明マニキュアで土手を作って穴を押さえやすくすると吹きやすくなります。

こちらに詳しく載っていました。

リコーダー | 教材・教具のネタ帳

ドラえもん学習シリーズには音楽も揃っています。

 

 投薬治療の効果

先日ツイッターで発達性協調運動障害のことをつぶやいていたら発達障害にお詳しい小児科医の高橋先生からこのようなことを教えていただきました。大変興味深いお話だったのでツイートを引用させていただきます。

なんとコンサータやストラテラなどADHD治療薬が発達性協調運動障害の改善に効果がある場合があるそうです。娘も6歳からコンサータを飲んでいますがよく考えてみればそのあたりから骨折など大きな怪我がなくなったのは投薬の効果もあったのかもしれません。

高橋先生もブログを書かれていらっしゃって専門的な目線で書かれたお話からいつも勉強させていただいています。

発達診療の窓から

 

発達性協調運動障害への配慮

 この障害で学校や日常生活で困ることも多くありますが、一番問題になるのは出来ないことで自分をダメだと自己嫌悪に陥ってしまうことではないでしょうか。

ただ闇雲にたくさん書けば書けるようになる、いっぱい練習すれば出来るようになると強要する事が一番最悪の事態になりかねません。嫌悪感を募らせ自信を喪失するだけです。

お子さんに合ったやり方、練習方法を見つけることが大切です。

自分が苦もなく出来たことは「なんで出来ないの?」とつい思ってしまいがちですが、生まれつきの障害なのでなんで出来ないのか本人にも当然わからないのです。難しいんだね、少しずつやっていこうと共感を交えて寄り添っていければいいなあと思います。

スモールステップなど適切な支援があれば出来るようになる体験を積むことで自信を回復したり、出来なくても無理強いされず工夫でやっていけることを知るのが大切だと思います。

リコーダーがふけなくてもなわとびが飛べなくてもスキップできなくても正直言って大人になって困ることはほぼありません。

私は人の名前が覚えられないし、とっさに右左がわからない左右盲ですが自分なりの工夫でそんなに困らず生きています。

他で代用できるものもたくさんあります。書字が苦手ならパソコンやタブレットやスマホ、書き写しが困難ならデジカメ、紐結びが苦手なら結ばなくていい靴紐やマジックテープの靴、料理をするにも調理器具だって色々便利なものがあります。

来年度から障害者差別解消法に基づく合理的配慮の義務化が始まりますので、学校にもサポートのための道具を持ち込むこと、そのことを周りに理解していただくことも可能になってくるでしょう。

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 大人になってそんなに困らずに生きていくことが出来れば、他はたいした問題ではないと構えることが大切なのかもしれません。どうしてもこれが出来ないと!とこだわると本人を追い詰めることになりかねません。

運動面でのトレーニングや感覚の問題は発達障害の困難全体を緩和する可能性があるので、楽しくやれる範囲で続けていければいいなぁと思います。

作業療法で聞いたのが、中高生になって部活などで運動をする場合、運動障害があると筋肉の使い方が違うことからどうしても怪我をしやすくなるので、練習量の調整などの配慮が必要だとのことです。

診断書に記載していただくことも可能だそうで、配慮が必要になった時に書いてもらおうと思っています。

個人的には6年生になったら運動会の組体操があるので、診断書をもらって組体操からはずしてもらうつもりでいます。近年組体操の巨大化により大きな怪我が続々と報告されています。中には一生障害として残るような怪我も少なくありません。元々運動障害があれば怪我もしやすいですし全体に影響があることです。練習に参加できないなど子供は辛いかもしれませんが、一時のことですので本人にも周りにも理解を求めようと思っています。

多くの運動の苦手さや不器用さをもったお子さんが、配慮や工夫によって出来ることを増やしたり、困難を軽減し自信を持って育っていかれることを祈っています。

苦手なことがあってもいい、そのぶん好きなこと得意なことをがんばれば自信にきっと繋がると思っています。

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合理的配慮を具体的にお願いするためのステップ

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平成28年度より施行される障害者差別解消法に伴う合理的配慮を、実際に学校へお願いするにはどうすればよいのかについて書こうと思います。合理的配慮とはなにか?についてはこちらの記事をご覧ください。

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法律が出来る、合理的配慮を求めることが出来るといっても、実際にはどうしたらいいのか、何をお願いできるのか、どう合意形成に持っていくのか、なかなか難しいですよね。

 先日、東京大学先端科学技術センターの近藤武夫先生の「障害のある子どもたちへの合理的配慮とテクノロジー」という講演会に伺い色々と勉強させていただきました。

近藤先生はDO-IT Japanという障害や病気のある小中高校生・大学生の高等教育への進学とその後の就労への移行支援のプロジェクトをなさっていらっしゃる先生です。

DO-IT Japan

その講演会とは別に、先日私の居住地の教育委員会の方々と懇談させていただく機会があり、合理的配慮について様々なお話を直接うかがってきました。そこで私の子供へお願いしようと思っている合理的配慮についてもお話させていただき現在市教委のほうで検討いただいているところです。学校のほうへも報告いたしました。

学ばせていただいたことを元に、実際に合理的配慮をお願いするにあたってどのようにしていけばよいのか、について考えたいと思います。

 

1.子供にとって必要な支援は何か

 当たり前のことですが、そのお子さんにとって学校で学習したり円滑な学校生活を送るために必要な支援は何なのか、しっかり考える必要があります。障害がある=タブレットなどを持ち込んで学習、というわけではありません。

私は支援は視力に問題がある人の眼鏡のようなものだと考えます。近視や遠視や乱視、度数、眼鏡もその人の視力に応じて合ったものを作ります。それと同じく発達障害児に対する支援もそのお子さんによってそれぞれ合ったものを探し考えていかなくてはなりません。道具なり人のサポートによって、学校においてはお子さんの学びの機会を保障するためのものです。

発達障害児とひとくくりにいえども困難の出方は千差万別。どういうことでお子さんが学校で困っているのか、どういう支援があれば学びや学校生活を円滑に送ることが出来るのか、特性を把握した上で見つけていくことがまず第一歩となります。

例えばどんな困難にどんな支援が可能なのか、については国立特別支援教育研究所の合理的配慮実践事例データベースに様々な事例が載っています。

inclusive.nise.go.jp

 こちらには今後も様々な合理的配慮の実践事例が追加されるそうです。

合理的配慮を求める場合に一番大切になるのは本人の意思です。配慮を受けるお子さん自身がこういう配慮があれば学校生活や学びで困難を軽減し学びの意欲に繋げられるかどうか。

場合によってはクラスに一人だけタブレットを使って学習するということになることに対して、お子さん自身がどう思われるかは大きな問題だと思います。

もちろんこれがそのお子さんにとって必要なサポートであると認められれば、周りのお子さんに対しても理解を求めるクラス運営を担任の先生にお願いしなくてはなりません。

しかし、合理的配慮の概念やインクルーシブ教育が浸透していけば、いずれはそれぞれが必要な支援を受けることが当たり前になってくることでしょう。最初は自分ひとりだけみんなと違う支援を受けることを拒んでいたお子さんも全体の空気が変われば支援を受けたい気持ちになる場合も考えられます。

小さいうちは難しいでしょうが、いずれ大きくなれば自分で自分の困難を把握し、自ら支援を説得力を持って求める力が必要となってきます。

これは障害を抱えて生きる上でも一生涯大切なこととなってくると私は思っています。

 

2.支援によってどのような効果が得られるのか

合理的配慮として支援を求めるためには学校側と話し合い合意形成をしていく必要があります。なんでもかんでもお願いすれば通るわけではないので、その支援の必要性をどこまで説得力を持ってお話できるかが鍵となってきます。

先日の講演会で近藤先生にうかがったお話では、学校や子供にいきなりタブレットなどを渡してこれで学校で勉強して来いと言ったところで学校も子供もどうしようもない、とおっしゃっていました。確かにそのとおりですよね。

例えば書字に困難がある場合、鉛筆で紙に書くとこのように難しくてもタブレットやパソコンを使えばこれだけの文章を書く事が出来るという例や、読むことに困難があってテストで代読があればこれだけの点数をとることが出来るというように、支援があることで出来るようになることを家でも確認し、可能であれば可視化できる状態にして学校へ交渉できるとよいですね。

うちもタブレットの使用とwifiの開放をお願いしていますが、これは以前から家庭学習でも導入し実績を上げているやり方を学校でもお願いするといった形になっています。

お願いする配慮によってはそのように可視化することが難しいものがあるでしょうが、その必要性について普段の様子を交えて説得力のある形で説明できると合意に至る可能性は高くなると思います。

この合理的配慮は障害者差別解消法に基づくものですので、医師からの意見書にこのような配慮が有効などと書いていただければ心強いものとなるでしょう。

逆に言えばグレーゾーンにしろなんら医療からの診断など障害があることを証明するものがないと合理的配慮を受けるのは難しいかもしれません。

(合理的配慮は障害者差別禁止法に基づくものですが、特別支援教育は診断が必須条件ではありません。必ずしも診断がなくとも必要と判断されれば特別支援教育を受けることは可能なはずです。ただ、特別支援教育を受ける根拠として診断が使われていることが多いのが現状です。)

先日の近藤先生の講演会でも、小学校から中学校へなど進学によって支援体制の移行には時間がかかるというお話でした。受験などでは進学以前に支援を受けていて実績を積み重ねていくことが大切だそうです。これからは受験に際しても困難があり申し出をすれば別室受験、代読、時間延長などの配慮を受けられるケースが増えていくようになります。先日、数学検定でも別室受検をお願いし配慮していただいたという話を聞きました。

 

3.実際に学校などにお願いをする

受けたい配慮とその必要性についてお話できる段階になれば、学校へ合理的配慮を求めると申し出をする段階になります。

 おそらく各自治体の教育委員会などでは今回の法律による合理的配慮について学校の先生方へ周知を研修などを通して行っていらっしゃる段階だと思います。

しかし、現状ではまだよく知らないとおっしゃる先生方も多いと思います。こちらで障害者差別解消法、それに基づく合理的配慮についての文書を持っていったほうが話が早いと思います。

文部科学省から出された障害者差別解消法の対応方針が掲載されています。

文部科学省所管事業分野における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応指針の策定について:文部科学省

長い文章になりますが、文部科学省から出されている正式なガイドラインになりますので、是非印刷しておかれることをお薦めします。

お子さんの支援に関係のある箇所をマーカーで強調したり、付箋を貼るなどをしておけば、学校との交渉の際にスムーズに話が出来ると思います。

まず、担任の先生を通じて合理的配慮を求めたい意思を伝え、その後特別支援コーディネーター(各校に一人の配置が義務付けられています)を中心として校内委員会で検討されることになります。

障害者差別解消法では、障害を理由とする障壁の除去を求める合理的配慮を行わないことは差別となりますが、「均衡を失した又は過度の負担にならないもの」という条件があります。

過度の負担にはならないか、要は予算や人員が必要な案件に対して、ない袖は振れないわけです。先日、教育委員会で懇談させていただいた際には来年度から合理的配慮に伴う人員や予算について考慮していただきたいとお願いをしましたが、現段階で予算に組み込んでいく予定であると回答をいただきました。これは自治体によっても規模が違うでしょうし、予算があるにしても限りがあります。仮に支援員さんをつけて欲しいという希望が殺到すれば全てに応じることは難しくなります。その中で可能な支援を探っていかなくてはなりません。

過度の負担になるかならないか、その支援がそのお子さんにとってどれくらい有効で必要であるものかなどが話し合われ、学校側と本人や保護者が合意に達して初めて合理的配慮が行われます。

4.学校と合意に至らない時にはどこに相談すればよいか

先日講演を聞かせていただいた東京大学の近藤武夫先生は文部科学省の対応指針策定の委員会に参加されていらっしゃったそうです。講演会の中で学校などの体制整備についてもお話されていました。

その中で使われたスライドを撮影したものがあります。近藤先生に転載の許可をいただきましたので掲載させていただきます。

「国内の初等中等教育での紛争調停に向けた体制整備の例」

f:id:nanaio:20151107152100j:plain

※東京大学先端科学技術センター近藤武夫先生の「障害のある子どもたちへの合理的配慮とテクノロジー」講演会より引用させていただきました。この図は近藤先生の許可をいただき転載しているものですので引用・転載等はご遠慮下さい。

この図の中には学校の中での体制がどのようになっているかも分かりやすく書かれています。

そして学校内で合意形成に至らなくても合理的配慮として求め続けていく場合、どこに相談すればよいか、上に教育委員会、文科省相談窓口、障害者差別解消支援地域協議会、法務局などが書かれています。

先日教育委員会で懇談させていただいた際に、市教委の相談窓口については現在福祉事務所と相談の上で作る予定であると伺いました。窓口が作られたらどういう形で私たちにお知らせくださるのか?についても質問させていただいたところ、全ての児童生徒の家庭に配布するという回答をいただきました。(これは私の居住地の自治体の話ですので自治体によっては違う形になるかもしれません。)

教育委員会以外にもそれぞれに専門の窓口が作られるのではと思います。

 

4.学びの情報保障

読むことや聞くことなど情報を取り入れることになんらの困難がある場合、通常の紙の教科書や授業においては他の生徒よりも受け取る情報が少なくなる、つまり学ぶ機会を失っているということになります。書くことに困難があれば、書くということに非常に大きなエネルギーを食われてしまい授業についていけなくなるケースもあります。

読み書きに目立った困難がなくともカクテルパーティー効果といって音声の選択的聴取が出来ない、つまり色んな音の中から先生の声だけをピックアップ出来ないために授業がわからない場合や、シングルタスクで同時に作業できないため、授業を聞きながら板書を取ることが難しいなどと障害による困難は個々様々なケースがあります。

こういった困難から子供たちを救ってくれるのがタブレット端末などのIT機器です。

近藤先生が「AccessReading(アクセスリーディング)」というデジタル教科書をご紹介されていらっしゃいました。

AccessReading - Home

twitter.com

 こちらは教科書の音声読み上げやハイライトや拡大表示機能により、読むことに困難があるお子さんのサポートとなる電子教科書です。障害のある方が登録することにより無料でデータをダウンロードでき、パソコンやタブレットなどで利用することが出来るそうです。

現在あるかなりの数の教科書データの他のものが必要な場合は申請することにより数ヶ月で新しく作成して下さるそうです。是非、必要な方は申請登録してみてくださいね。

お申し込みの流れ

 教科書以外、テストなどで読むことに困難があれば代読していただくことも合理的配慮のひとつですし、書くことに困難があればパソコンやタブレットを使いキーボード入力や音声入力の方法もあります。

聞くことに困難があればデジタル耳栓などノイズキャンセラー機能で軽減することも出来ます。

キングジム デジタル耳せん   MM1000 ホワイト

キングジム デジタル耳せん MM1000 ホワイト

 

nanaio.hatenablog.com

 板書に困難があればデジタルカメラなどで写真を取ることも合理的配慮の一例となるでしょう。

その他、様々なアプリを使うことで学びのサポートを行うことが出来ます。うちの息子の場合は微細運動の問題で鉛筆で紙に書くことに多少の困難があり、アプリを使って指でなぞりがきをすることで漢字を覚えていきました。学習や生活支援に関するアプリもたくさんあります。

nanaio.hatenadiary.jp

 過去にディスレクシアの方のサポートについて書いた記事があります。これらの支援を合理的配慮として学校で通常学級でも用いることが可能になるのです。

nanaio.hatenablog.com

 これらの支援は特別扱いではありません。

障害による困難によって起きる学びの平等な機会への障壁を取り除くものです。

そしてその困難は個々により大きく違います。

人によって違うから「何が合理的かはケースバイケース」なので関係者間の合意形成が重要となると近藤先生もおっしゃっていました。

こういう障害者差別に関する法整備は2006年に国連で採択されてから日本は遅れてやっと出来た状態です。

 

うちの合理的配慮をお願いしている現状

 うちの子供たちは理解ある学校や先生方に恵まれ今まできめ細かい支援をしていただいております。しかし、一点だけ就学前からお願いしていたことで実現していないことがありました。現状の制度では実現が難しく半分諦めていましたが、今回合理的配慮の義務化に伴い再度お願いしてみることにしました。

昨年度に引き続き情緒通級親の会で役員をさせていただいている関係から、先日教育委員会で懇談をさせていただく機会がありました。通級指導教室の拡充をお願いすると共に来年度からの合理的配慮についても資料をどっさりもって色んな質問をさせて頂きました。

その中でうちの子に対するこういう合理的配慮をお願いしようと思っているという話をしたところ、教育委員会で検討し回答をくださるという話になりました。学校に話をするところをすっとばしてしまいました^^;

うちの支援学級に通う小学2年の息子は障害による困難と共に突出した算数・数学への興味をもっています。2Eやギフテッドと呼ばれる部類に入ると思います。3歳で四則演算を覚え就学前には小学校の算数の範囲はすでに終わらせていました。

支援学級に入るにあたり算数の授業を他のお子さんたちと同じカリキュラムでなく自習で息子のレベルに沿った数学の学習の時間にしていただけないかとお願いしてきました。しかし学習指導要領の問題もあり結局は学齢に沿った学習内容を行っています。2年生ですから今は九九をやっています。息子にとっては何年も前に覚えたことを今更やることは非常に退屈でもあり面倒でもあり興味も持てないものになっています。休み時間を使い自分で持ち込んだ教材で学習するほど学びへの意欲を持った子です。今の算数の授業は時間の無駄としか本人も認識していません。

他、文字を書くことに多少の困難があるので漢字学習のためにタブレット端末を持ち込みたいとお願いしましたが、管理の問題があると断られていました。

息子の数学への興味と習熟度を客観的に証明するため幼稚園の頃から数学検定を取り、現在は4級(中2相当)を取得、先日3級を受け結果待ちです。算数オリンピックでもキッズBEE部門(小1~3年のクラス)で金賞と最優秀賞をいただきました。何年もかけて見える形での実績を作ってきました。

先日発表された文部科学省の対応方針を載せた官報にも「合理的配慮は、障害者がその能力を可能な最大限度までに発達させ、自由な社会に効果的に参加することを可能にする目的の下」という文言があります。

この言葉を元に、息子に対する算数の授業を本人の興味レベルに沿った自主学習の時間にしていただくこと、それに必要なタブレット端末の使用(可能であれば予算を組んでいただき学校で購入していただきたいこと)、wifiの開放をお願いしました。

息子は普段から家でインターネット上にある動画授業を使い自主的に自分の学びを進めています。息子がこれから学ぶのは高校数学なので指導要領の問題があるのであれば、算数オリンピックの学習なら難問でも小学校算数の応用なのでそちらをやらせて欲しいと。

検討して下さるとおっしゃったので、来年度早々学校にお願いに上がるのでその際に教育委員会からの回答をいただきたいとお願いしてきました。

学校に相談をすっとばしてしまったので先日支援コーディネーターである息子の支援担任の先生にこのように教育委員会で検討していただいていることを話しました。

担任の先生はギフテッド教育に関して日本は遅れているのでこれからだと理解を示していただきました。後日校長先生にもご報告に伺うことにしています。

アメリカをはじめとする障害児教育の先進国である欧米諸国では、ギフテッド・2E教育は特別支援教育として位置づけられています。一般的な学びの成長とは大きく異なるという点においてギフテッドも困難になりうることが広く認識されています。

個別配慮にしても日本の公教育にギフテッド・2Eへの配慮をお願いすることはとても大胆なことだと思いますが、教育委員会が息子の困難を軽減していただける方向へ判断を下していただけることを祈っています。

その他、現状はまだ大丈夫ですが娘は発達検査の結果からも同時処理にかなりの困難が見られるため、先々板書などに困難が現れてきたらカメラの持ち込み、発達性協調運動障害があるので体育など運動面での配慮をお願いしようと思っています。

 

来年度より障害者差別解消法に基づく合理的配慮によって世の中や学校がどう変わっていくのかはまだわかりません。

最初を切り開いていくのはそれなりに混乱も困難も伴いますし、大きな勇気がいるものです。

今私の子供たちが受けている支援の環境は学校や専門の方々、同じ困難を抱える子供たちを持つ保護者の方々が切り開いてきた努力の上で成り立ってきたものだと思っています。

お子さんの学校での困難を軽減するために合理的配慮を必要とされている保護者の皆様、一緒に動き出してみませんか?

共に学び合うインクルーシブ教育システム構築に向けた児童生徒への配慮・指導事例

共に学び合うインクルーシブ教育システム構築に向けた児童生徒への配慮・指導事例

 

 こちらはDO-IT Japanの近藤先生と異才発掘プロジェクトROCKETを率いる中邑先生が書かれた本です。

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家庭療育 生きる力をつけること

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親として子育てをしていくうえで一番の目標はなにか?

「自分が死んだ後も子供たちが生き延びられるようにすること」だと私は思っています。

我が家には二人の発達障害児がいます。うちの子供たちの場合は、障害児と言えども障害者手帳も療育手帳も条件を満たしておらず現状では持っていません。成長の過程で二次障害などが起きれば変わってくる可能性もありますが、おそらく一般の社会に出て行かなくてはなりません。

福祉の制度を利用できる範囲の障害であればまた違ったやり方となるのでしょうが、うちの子の場合は一般の社会の中で自立して生きることを目指さなくてはなりません。

その中で一番必要な力はなにか、何があればこの子たちは生き延びられるのか、私に出来ることは何なのか。

生まれつきの障害ゆえの生き辛さを持ち、生きる上でこれから獲得しなければならないスキルは山のようにあるでしょうが、生活力をつけること、これが一番大切なのではないかなぁと思っています。生活力といっても就業に必要な力、日常生活を問題なく送る力、家族や周囲の人たちとの関わりなど色々ありますが、現在は小学生なので身近なところから少しずつ進めています。

家庭療育といえば、ソーシャルスキルトレーニングや感覚統合をイメージされる方も多いと思いますが、今回はもっと基礎的なお話です。

 

できることを増やす

当たり前のことなのですが、子供が自分自身で出来ることをひとつずつ増やしていく。これは幼児期の身辺自立(おきがえ、トイレ、食事など)だけではなく、将来一人暮らしをしたときを想定して生活する上で必要であろうと思われることを増やしていっています。簡単に言えば自分のことと家事全般です。

料理、掃除、洗濯、片付け、お金の管理、持ち物の管理、身支度、栄養のバランスなど、一般的には親がやっている仕事をひとつずつ子供の出来る範囲で覚えさせています。

りんごがあれば皮のむき方を教えます。子供がやりたがれば一緒にさせます。娘は発達性協調運動障害も持っているのでとても不器用で、包丁で指を切ることもあります。包丁がダメならピーラーでむく方法も教えますが、基本的には包丁でやります。多くの料理に包丁は必須なので慣れておく必要があるからです。包丁に慣れれば苦手な皮むきはピーラーでもかまいません。どうしてもダメなら違う方法を考えます。

何度かやって失敗して苦手だからやるのを嫌がることもあります。しかし、生きていく上でなぜ必要なスキルであるか納得するまで説明をすれば再度挑戦してくれます。

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先日は息子もやりたいと言ってきたので剥かせてみました。凸凹になってとても苦労しましたが最後まで一切れを剥き、自分で嬉しそうに食べました。

自分がどうやってりんごの皮の剥き方を覚えたかは見様見真似でしかなかったのですが、おそらくうちの子供たちはそういうやり方では覚えられません。ひとつひとつ丁寧にやり方を見せ、教え、やらせてみせて、練習を繰り返すことでないと習得は難しいと思います。

ですので年齢的にまだ早いと思う頃であっても本人が興味を示せばとりあえず教えてやらせてみます。お米も研ぎます。洗い物もします。料理も簡単なものなら教え作らせます。自分で作ったものは美味しそうに食べてくれます。

定型のお子さんであれば見よう見まねで習得していくことも多いでしょうが、そこは不器用な子供達なので丁寧に教えていかなくてはなりません。

お米を研がせてもこぼしてしまうことも多いし、洗い物も汚れが落ちきらず二度洗いしなければならないことも多いですが、とにかくやらせています。失敗すれば次にどうしたらその失敗を防げるか考えます。

娘の場合、積極奇異型でなんにでも興味を示し明らかにまだ危険ということまでやりたがるので(幼児期に揚げ物したいとかミシン使いたいとか)それは流石に止めますが、時期が来れば少しずつ挑戦させます。

料理だけでなく裁縫も教えています。ボタンくらい自分で付けられるようにならないと将来的に困ります。ミシンは流石に幼児には無理ですが、針と糸の使い方や縫い方は幼稚園の頃に教えました。

日常の洗濯物を畳む、しまう、週末の上靴や運動靴を洗う、お風呂掃除やトイレ掃除、ひとつずつやり方を教えています。

お金の管理もうちはポイント制のご褒美(トークン)でお小遣いを渡していますが、自分がほしいものにいくらかかっていくらためればよいのかを考えながらやっています。週末の買い物では予算を決めているのでその範囲の中で計算しながら自分のほしいおやつを選びます。

まだ小学生なので出来ることは少ないですが、日常生活は維持するだけでも大変でいずれは自分で全てやっていかなければならないと意識付けが出来ればと思っています。これは娘だけではなく息子にも同じように教えています。

 

子供たちに家事を教える理由

自分の育ちが関係しているのですが、私の親は生活面においてとても過保護でした。家事を教えてもらうことはあまりなく、実家を出た時には洗濯機の使い方すら知りませんでした。成人してからもみかんを剥いて目の前に並べてくれるような家でした。

元々片づけが苦手で物の管理も出来ず、忘れ物やなくし物も多かったのですが、片付けもほとんどやってもらっていた状態でした。

唯一、母が苦手だった料理だけは自分でやるようになり出来たのですが、それ以外の家事は全く知らない状態で親元を離れてしまい、いろいろ困ったことがありました。

物は散らかり荒れ放題。洗濯機に入れていいものいけないものがわからずなんでも突っ込みダメにする、物やお金の管理も出来ない。

少しずつ失敗しながら覚えていったようなものでしたが、試行錯誤でまともに出来るようになるまでにかなりの時間がかかったと思います。今でも片付けは苦手ですがなんとか生活できるくらいにはなりました。

私自身、子供と似たような傾向があると思います。なので自分で失敗して解決策を探して出来るようになるまでは非常に遠回りをしてしまいます。教えてもらっていたらもっと早くできるようになっただろうと思うことはたくさんありました。

親が家事をしているところは見ていたはずです。でも見るだけでは覚えられません。いずれ自分の身に降りかかってくることとという意識が全くなかったから。

ちょっと考えればわかることですが、やってもらって当たり前としか感じてなかったんですね、当時は。

親としても子供にやらせてイライラするよりは自分でやったほうが早いからというのもあったと思います。実際、今子供たちに色々教えていても自分でやるほうが手間がかからないことも多いです。

私もそんな感じでしたし、うちの子供たちは私より顕著な傾向があるため発達障害の診断がついていますから、おそらく教えなければ出来ないことっていっぱいあるだろうと思うのです。だからひとつずつ教えていこうとしています。

これは家庭だからこそ教えられることだと思います。

 

出来ないことは手伝う、出来ることは手伝わない

これも至って当たり前のことなのですが、教えて出来るようになったことでも継続してやらなければ定着はしません。

ADHDを持つ娘の場合、自分の今やりたいこと以外はやりたくない人なので、新しくやることには興味を持ちますが、もう出来るようになったことは面倒なのです。

しかし生活をするということは同じことを繰り返し維持していくこと。出来るけど面倒だからやらないでは生きていけません。

なのでいつも自分で出来ることでも「えーーー、かあさんやってー」と言って来るので毎回口癖のように「自分で出来ることは手伝いません。出来ないことは手伝います。あなたが出来ることを増やすのが母さんの仕事です。」と繰り返しています。

娘の制服のボタンが取れかけていたので娘が私にボタンをつけてくれと言って来ました。しかしボタン付けは幼稚園の頃に教えて出来るようになっています。だから自分でやるようにいいました。娘は面倒なのであとでと先延ばしにして一週間。「いい加減ボタンつけないと知らない間に取れてなくなってるよー」と声をかけ、しぶしぶ自分でつけていました。

娘はパンやお菓子を作るのが好きですが、作る前に娘の苦手な片付けも全て自分でやることを条件にしています。ただしどうしても困って手伝ってほしい意思を上手に伝えることが出来たら手伝います。上手く人に助けを求めるのも生きるスキルのひとつです。

「なんで手伝ってくれないの!!ぎゃー!!」が始まれば無視します。

息子の場合はいつも積極的に「何か手伝うことある?」と聞いてくれるのでとても助かります。

休みの日のお昼ご飯も私が用意しようとしていたもの以外を食べたいと言ったら自分で作らせています。自分で作れないものなら作り方を覚えるか、出来るようになるまで我慢です。

親としては子供の世話を手抜きしているようなものなのかもしれません。実際それで楽をさせてもらっていることも多いです。

こまめに子供の世話をやくのがいいお母さんなのかもしれません。しかし子供の自立を考えればその子の興味や成長段階に合わせて手を離していくことが必要なのではと思っています。

私は高齢出産で持病もあり、いつどうなるかわからないだけに子供の自立を焦っているところもあると思います。昨年大きな病気をしたときは、あと少し、子供が自分で生きていけるようになるまで時間をくださいと祈ったものでした。

親として私が子供にしてあげられることにもキャパが限られています。無理をすれば継続は出来ません。子供が出来ることをやっていくより、出来るように教えること、他の環境を整えることに配分を割きたいと思っています。

凸凹の大きな子供たちですから、年齢相当のことが出来ない場合も多くあります。娘は10歳ですが髪の毛を自分で束ねることが出来ません。癖っ毛なので短くすればはね放題、長くすれば不器用なので絡まった毛を自分で梳くことができません。セミロングで束ねて学校へ行っています。しかし自分から見えないところが認識できない、発達性協調運動障害のためとても不器用。自分で束ねるとくしゃくしゃです。だから外へ出るときは私がいつも束ねていますが、出来ないからといって一生私が束ねるというのも不可能な話です。家の中で少しずつ練習をしています。

年齢相当のことから遅れながらでも、不器用で出来ない障害をもっていても、諦めずアプローチをしていけば子供はその子なりのスピードで成長します。出来ないからさせないでいるとうちの子供たちのようなタイプではおそらく自然に習得は難しいと思います。ただ方法は子供に合ったものを探していくことは必要です。生きる上で必要になるスキルは出来なくても工夫でなんとか乗り切る方法を見つけなくてはなりません。逆にこれできなくても生きていけるんじゃね?というものは切り捨てることも大切だと思います。キャパは限られていますから。

ずっと出来なかった蝶結びが、今年春の運動会の鉢巻きのために特訓。二人とも結べるようになりました。家で何度も教えてたのですがこりゃ当分出来ないだろうな~と思っていたことなのでちょっとびっくり。なにかのきっかけがあればそれまでの積み重ねが生きてきます。

発達障害児の子育ては「丁寧な子育て」といわれています。これはこまめに子供の世話をすることではなく、子供の発達段階を丁寧に見極め、ひとつひとつを丁寧に教えていくことだと私は解釈しています。自分の継続できる範囲でやっていければいいなあと思っています。

 

自己理解へつなげる

発達障害をもち将来の自立を考えると自己理解は欠かせません。

自分は何が苦手で何が得意なのか。学校生活の中だけでは気付かなかったことも家でいろんなことをやっていくうちにわかることもたくさんあります。学習面で問題なくやってきた人が社会に出てから急に不都合なことが多くなった、家庭に入ってから困ることだらけで診断が付いた当事者の方も多くいらっしゃると聞きます。

自分の苦手なことに気付いて、必要なことであればどう工夫していくか、それを考えていくことも大切な自己理解です。自分に出来る範囲を知ること、継続するためのキャパシティを把握する、そのための取捨選択をする。

セルフモニタリングも難しい、優先順位も付けにくいと発達障害の特性上ハードルが高いことです。ハードルが高いからこそ少しずつ少しずつやっていって慣れていく必要があると考えています。

 

 エラソーにつらつら書きましたが私もまだまだ未熟な親です。毎日試行錯誤しています。これは我が家の家庭環境と私と子供の特性上、現在でベストな方法だと思ってやっていることです。それでも日々迷い続けています。それぞれのご家庭、お子さんの状況によってはまた違うと思います。

子供に発達障害があると、少しでも将来困らないよう焦る気持ちが出やすいものです。家の中であれやこれややらせて自分も子どももキャパを越えてしまい、余計状況が悪くなる、そんな時期がありましたし、もしかしたら今もそうかもしれません。

私のように子供の世話を手抜きすることで、子供が出来ることを増やす場合もあるという例として書いてみました。

発達障害を持つ当事者でもあり、先輩保護者でもあるふみきちさん(id:fumikichi2525)にいつも「キャパオーバーにしないこと」とツイッターで教えていただいています。子供のキャパだけでなく、自分のキャパを把握することも大切だなあと日々感じています。

発達が気になる子への生活動作の教え方―苦手が「できる」にかわる!

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発達が気になる子のための自立・就労トレーニング: 家庭・学校・社会生活での支援と訓練

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家庭学習サポート wiiUを使った動画授業での学習支援!

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自閉症スペクトラム、ADHD、LD(学習障害)など発達障害を持っていると学校の授業になじめなかったり学習面でのつまづきをかかえることは多いと思います。

学校の授業についていくことが困難な場合もあれば、不登校気味だったり、支援学級で教えてもらうスピードが遅い場合もあると思います。

学習でつまづく原因はなにかは、それぞれのお子さんの特性によって様々です。読み書きに困難があるのか、注意力や興味の問題なのか、聴覚優位か視覚優位なのか。

まず困難の原因をつきとめてから支援のやり方を考えたほうがよいのでしょうが、なかなか難しいですよね。おおまかにこんなことが困難だろうと思ってもどういうやり方がヒットするかは、やってみないとわからないことも多いです。

うちの場合は息子が数に極端に強い興味を持っていたこと、娘は新しい知識を得ることに貪欲であったことなどから、小さい頃から家庭学習に取り組んできました。

一番大切にしてきたことは「おもしろいこと」です。これはどんなお子さんにでも同じだろうと思うのですが、うちの子供たちは興味が持てるかどうかにとても大きく左右されるのでおもしろいと本人が感じられることが重要です。

うちの子供たちは極端な凸凹を持っていますので、興味のないことはさっぱり覚えられないけども興味があればどんどん吸収していきます。勉強でなくてもゲームやアニメのキャラクターならものすごい覚えているお子さんも多くいますよね。あれはやはり好きだから、おもしろいから覚えられるのです。

ですので、ただテキストやプリントで勉強だけでなく、タブレットのゲームアプリを使った学習やDVD、DSソフト、学習まんがなどあらゆる方法で子供たちが興味を持てそうなものを用意してきました。その中でも今一番子供たちの学習に役に立っているのがyoutubeを使った動画授業です。

 

動画授業のメリット

 <視覚優位、聴覚優位のどちらにもアプローチできる。>

動画ですから先生が言葉で説明してくれるので耳で理解と、画像で理解と両方いけます。特にテレビがついているとくぎづけになって他に何も手が付かないタイプのお子さんだと興味をひきやすいと思います。うちの娘がそのタイプです。

 

<読み書きが苦手でも理解しやすい>

ディスレクシア(読字障害)などのLD(学習障害)があっても動画だったら見て聞いて理解しやすいと思います。学校の授業だと書きながら聞いたり集中しづらい状況でも家でひとりなら集中もしやすいです。周りのがやがやで先生の声が聞きづらいタイプにも楽だと思います。

 

<わからないところを繰り返し学べる>

学校の授業は一つの単元を繰り返し教えることはあまりありません。どこかでつまづいても動画授業ならいつでも何度でもみることができます。わからないところはとことん、逆にわかるのであればどんどん先に進めることも可能です。お子さんのタイプにもよりますが、予習でわかる状態のほうが安心して授業をうけられるタイプもいます。

ひとつの動画がほとんどのものが10分前後なので飽きずに見ることができます。

わからないところをつきっきりで教えなくても動画を見せるだけですむのでとっても楽です(*´ω`*)

 

<先生を選べる>

動画授業をやっているところは色々あります。先生によって教え方もさまざまなので、お子さんの理解しやすい授業を探すことができるかもしれません。

学校では先生を選ぶことができませんが動画なら可能です。塾講師の方がやっていらっしゃる場合も多いので教え方も上手です。子供の理解度によってどこの動画を見るか使い分けることもあります。

 

<いろんな媒体を使って学べる>

youtubeですからスマートフォンでもタブレットでもパソコンでもテレビの大画面を使っても学ぶことができます。

ADHDで姿勢保持が難しい場合や、疲れやすいお子さんでもタブレットなら寝転んで学習することも可能です。特にやることがないときでもテレビ画面に映し出せば見てしまううちの子供たち。とても便利です。

テレビの大画面に映し出すメリットはなにをしていてもうちの子供たちはテレビに気をとられること!つけてさえいれば勉強が進む魔法のような話です(笑)

このテレビ画面にyoutubeを映すために先日wiiUを購入しました。以前、光BOXというのを使ってテレビに映していたのですが検索などの入力操作が困難でやめてしまっていました。

wiiUだとインターネットの接続もwifi環境があればカンタンで、画面のついたゲームパッドで操作もすいすい。テレビの大画面にも映し出せますし、ゲームパッドだけでもタブレットのように動画を見たりインターネットで調べものができます。

youtubeの動画をRボタンで倍速再生できますし、早送りも巻き戻しもスティックでワンタッチ操作できます。webサイトのスクロールもスティックでらくらく。もちろんタッチパネルでスマホのように操作もできます。twitterをテレビの大画面で見てツイートすることもできました。今更なんですがすごい便利!!

Wii U プレミアムセット shiro (WUP-S-WAFC)

Wii U プレミアムセット shiro (WUP-S-WAFC)

 

 

<無料で学べる>

インターネットにつなぐ環境を用意したり、テキストがあったほうがいい場合もありますが、基本的に動画自体は無料で見ることができます。最近は大手企業もタブレットを使った通信教育を月々いくらで配信していますが、子供が複数いたり年間にすると結構な出費です。無料はほんとうにありがたいです。

 

うちが使っている動画授業

 今、3ヶ所の動画授業にお世話になっています。

www.19ch.tv

「とある男が授業をしてみた」教育youtuber葉一さんがされている授業動画チャンネルです。小学3年からの算数、中学は各教科が揃っています。学校の教科書に沿って各単元があり、ポイントをしっかり抑えた内容です。それぞれの動画ごとに板書の問題をプリントとして出すことができます。現在小学2年の息子は数学検定3級(中学3年程度)まで取得していますがこちらの授業動画でみっちり学びました。

 

www.eboard.jp

 こちらはNPO法人eboardがやっている授業動画サイト。小学1年からの算数、中高は各教科が揃っています。無料登録することで学習マップが作られ、どれくらい学習が進んでいるか把握することができます。各単元ごとにマスタードリル、確認テスト、印刷できるプリントテストがついています。

こちらは小学1年からあることと概念理解がとてもやさしく丁寧に教えてくれますのでつまづいたところを理解するのにむいていると思います。

 

hon.gakken.jp

こちらは最近ツイッターでSONO@ははとこ盛岡さん(@hc_morioka)に教えていただいて知ったのですが、算数だけでなく、国語、理科、社会の全部の科目の動画があります。それも小学校で習う単元がすべて網羅してあります。科目ごとに塾講師の先生が ゆっくりとした口調で丁寧に解説してくれます。

こちらは小学5年生電磁石の授業です。

ただし、こちらはテキストが必要。そのテキストに沿っての指導になっていますので、あったほうがいいと思います。テキストにはDVDがついており、効果的な学習方法を教えてくれます。

テキストもとてもわかりやすいものでした。一冊で一つの教科の小学校で習うものになっています。

まずは理科から購入してみました。現在4年生の娘はテキストを読んで各単元の問題をノートにやり、わからない問題だけを動画でチェック。2年生の息子はまだ学校で理科をやっていないので動画とテキストの同時進行で問題を解いています。テキストだけでも十分おもしろいらしく夢中で読んでいます。

やさしくまるごと小学理科

やさしくまるごと小学理科

 

 国語、社会、算数も順次やっていく予定です。

やさしくまるごと小学国語

やさしくまるごと小学国語

 
やさしくまるごと小学社会

やさしくまるごと小学社会

 
やさしくまるごと小学算数

やさしくまるごと小学算数

 

テキスト代がかかりますが、一冊2200円で一つの教科まるごとと考えると安いのではないかと思います。市販のテキストに授業動画がついて万全のフォローです。 

最近ではwiiUを使ってテレビの大画面で毎日理科の動画を見ています。息子がノリノリで見ているのですが、宿題で疲れた娘も動画がはじまればくぎづけです。娘はテレビ画面がついていればそこに集中してしまう特性があるのでwiiU作戦はばっちりでした。

中学受験を考えているため、娘は5年生になる今年中に小学校の単元はすべて終わらせておく予定でした。このテキストと動画は本当にありがたいです。

息子は数学はどんどん進めているのですが、国語に苦手があり、それを動画授業で学べるのは助かります。

 

hon.gakken.jp

 やさしくまるごとシリーズには中学もそろっています。同じくすべてのテキストに動画のフォローつき。

読み書きに多少の困難を抱えていると英語でつまづくことが多いと聞きます。中学になれば学習のスピードも上がりついていくのも大変です。学習動画でわからないところをしっかりフォローできれば心強いですね。

やさしくまるごと中学英語

やさしくまるごと中学英語

 
やさしくまるごと中学数学

やさしくまるごと中学数学

 
やさしくまるごと中学国語: DVDつき

やさしくまるごと中学国語: DVDつき

 
やさしくまるごと中学理科: DVDつき

やさしくまるごと中学理科: DVDつき

 
やさしくまるごと中学社会: DVDつき

やさしくまるごと中学社会: DVDつき

 

 お子さんのタイプによっては合う学習の方法は様々だと思います。ひとつの方法として動画授業を紹介してみました。

その他、スマホやタブレットのアプリを使った学習はこちらにまとめてあります。

nanaio.hatenadiary.jp

 最初のページはコミュニケーションアプリのまとめになっていますが、一番下に国語、算数、理科、社会の学習アプリ各まとめリンクがあります。

 

nanaio.hateblo.jp

  うちの子供たちが使っている家庭学習教材はこちらに学習漫画やDVD、テキストなどを紹介しています。

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ケース会議とは? チームで子供を支える特別支援教育

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お子さんが学校で困っていることについて、担任の先生に直接支援をお願いしても、先生がお忙しかったり、意見がかみ合わなかったりで、なかなか解決に向かわないことがあると思います。

そんなときはケース会議が役に立つかもしれません。担任の先生と保護者だけでなく、チームでお子さんの支援を考えていく仕組みです。

うちでは現在小学校4年生の娘について、学校で定期的にケース会議を開いていただいています。

ケース会議とは、困っている子供に対する支援について、担任の先生一人で抱えず他の先生方や保護者、時には外部の専門家などを交えて支援をみんなで考えて支えていくために行われるものです。

校内の先生方で情報共有として行われる場合と、保護者などを交えて行われる場合があるそうです。

 

ケース会議を行うには

発達障害など困難を抱えたお子さんの学校生活において、なにか困っていることがあるときに、担任の先生にケース会議を申し入れすれば開いてもらうことが出来ます。

お子さんの診断や特性について前もって学校に知らせてある場合でも、学校側からケース会議をやりましょうとはなかなか言ってもらえないものだと思います。

ケース会議も保護者側が知っていて申し出をしないと実現しません。ただし、学校の先生方は大変お忙しいので、なにか困ったことがあるときだけにお願いをしたほうがよいと思います。

 

参加メンバーは?

うちの場合、私と担任の先生、特別支援コーディネーターの先生の3人で行っています。

保護者、担任の先生、第三者で行われることが多いようです。

うちの場合は特別支援コーディネーターの先生が、知識も豊富で特別支援のスペシャリストと呼ばれている方なので助かっていますが、学校によってはあまり知識や支援技術をもたない方が特別支援コーディネーターになられている場合もあると思います。

(特別支援コーディネーターは各校に一人配置が義務付けられています。支援学級の先生、養護教諭や校長など管理職の先生が兼任されているケースが多いと思います。)

第三者は学校内で他にお子さんの支援について理解や知識の深い方がいらっしゃれば(主任や管理職などでも)お願いすることが出来ると思います。

その他、療育や病院、デイサービスなどそのお子さんの特性や支援方法に詳しい方がいらっしゃれば学校外の専門家として参加していただくことも可能です。ただし、学校は外部の方が入ることを嫌がる場合もあるそうなので事前に学校と話し合いの上でお願いすることが大切だと思います。

私の住む自治体では教育委員会から問題を抱える子供の支援方法について学校との関係調整などを行う専門の方が福祉事務所に配置されており、ケース会議に第三者として参加をお願いすることも可能です。

地域の子供相談センターや発達障害者支援センターなどに問い合わせれば、お住まいの地域の制度を教えてもらえると思います。

怒りをコントロールできない子の理解と援助―教師と親のかかわり

怒りをコントロールできない子の理解と援助―教師と親のかかわり

 

 

何を話し合うの?

私の行っていただいているケース会議では、保護者、担任の先生からそれぞれ子供の今の現状や困っていることについて話します。

そしてその原因について考え、支援方法の提案があり、学校、家庭のそれぞれで出来るものを決めていく形です。定期的に行っているので、前回からの子供の様子の変化、つまりその支援方法によってどのような効果があったかも話し合われます。

定期的に回数を重ねることでPlan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)を繰り返すPDCAサイクルのように行われています。

うちの場合は特別支援コーディネーターの先生が全てインタビューしてくださり、支援方法もさまざまな形で提案して下さいます。

娘の場合、授業に集中するために席を前のほうにしてもらうようにしていただいたのも一つの例です。クラスではくじ引きで席を決めているのですが、周りの子にわからないように席を指定する裏技もあるそうです。

一時期、薬の調整で宿題が出来なくなったときには宿題の軽減、文字がすごく乱れていたときは担任の先生が毎日きれいに書いた日には番号をつけて下さり、その数字を伸ばすためにがんばる工夫、授業中の問題、クラスのほかのお子さんとの人間関係の問題、家庭で不安定な時期に私の子供への接し方のヒントまであらゆる提案をいただいています。

問題があるときは毎月行っていただき、今は落ち着いてきたので学期に一度のペースで行っていただいています。

ないとは思いますが、申し出たけども相手の先生がケース会議ってなんじゃらほい?という場合やうまく話が進まない場合には国立特別支援教育総合研究所のこちらを参考にしていただければと思います。

forum.nise.go.jp

 こちらは福岡市の発達教育センターのケース会議マニュアル。保護者参加型ではなく学校内で行われるもののマニュアルのようですがかなり詳しく載っているので参考になると思います。(PDFです)

http://www.fuku-c.ed.jp/schoolhp/hattatuc/5download/h24ke-sukaigi.pdf

 

チームで支援していくことの大切さ

 先日、私の所属している通級指導教室親の会で、中学校の通級指導教室の先生をお招きし、中学校での支援についてお話を伺いました。

中学校では科目ごとに先生が違います。先生方で学年団というチームとなり毎週子供たちの情報を共有しているそうです。その中で支援が必要な子供たちについても特性や支援方法などが情報共有されていると伺いました。

科目ごとに得意や苦手の差が大きいと担当の授業だけを診ていたら先生の評価も大きく違ってくるでしょうし、情報を共有して下さることでいろんな先生の視点から子供を支えていくことができます。

小学校ではほとんどが担任の先生によって授業が行われていますが、先生と子供の相性や、障害への理解度の違い、支援技術の違いが、先生によって大きく違います。学年が変わり担任の先生が変わってもしも理解の薄い先生に当たってしまったら・・・

1年間、子供は毎日辛い思いをしながら学校に通わなくてはなりません。たった1年でも大人よりは世界の狭い子供にとって大きな問題です。不適切な対応によって心に大きな傷を負うこともままあることです。

我が家の場合は運よく今まで理解のあるすばらしい先生方に恵まれてきました。しかしこれからはどうかわかりません。毎年学年の変わる4月には祈るような気持ちでいます。

でも、ケース会議などを通じて、担任の先生だけではなく他の先生方や管理職の方々と繋がることが出来れば、その不安も軽減します。

仮に担任の先生と支援についての意見がかみ合わなくても、第三者の入る会議を通じて支援方法を客観的にみて下さいますし、継続してケース会議を行うことで支援方法が適切であったかの検証、改善に向かった話し合いを持つことが出来ます。

ケース会議は記録され子供自身の情報として学校に保存されています。今までの経過を学年が変わっても資料として引継ぎされています。

必要な場合は学校外の支援機関との連携としてケース会議を行うことも可能なのです。

教室でできる特別支援教育のアイデア172 小学校編 (シリーズ教室で行う特別支援教育)

教室でできる特別支援教育のアイデア172 小学校編 (シリーズ教室で行う特別支援教育)

 

 家庭でも、家族の中だけで問題を抱え込んでしまえばどうしても視野が狭くなり問題がこじれがちになります。自分ひとりの尺度では限界があるからです。

多くの人の視点、考え、アイディアがあれば解決への道筋が立ちやすいものです。子育ても同じく多くの人によって子供を支えることがよりよい育ちに繋がっていくと考えます。

私も子供に診断が付くまではひとりで抱え込み抜け出せない暗闇のなかでもがいていました。今では学校や医療関係、療育など様々な専門家の方々、同じく発達障害児を育てる保護者の方々とのつながりをもつことができて、たくさんの知識や子育て、支援のアイディアをいただいています。今は孤独ではありません。

家庭という狭い空間の中だけで困難を抱えた子供を育てるということは、鋼よりも固い心を持たない限りとても危険なことです。是非周りに助けを求めてほしいと思います。

時には、学校と意見が合わず対立してしまうこともあるでしょう。

でも基本的には学校と家庭は連携し子供を共に支える同士だと思っています。

出来る範囲で良好な関係を保ちながら、子供の学校生活や育ちを一緒に支えるためにケース会議はとても役立つ方法のひとつです。

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家庭でもできる感覚過敏・鈍磨の傾向を知るためのツール  日本感覚インベントリー

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聴覚過敏、触覚過敏など、発達障害にともないさまざまな感覚の受けとり方に偏りがある場合があります。

感覚の違いは日常生活にさまざまな困難をもたらすことがあります。

集団の中でじっとしていられないのにも、聴覚が過敏で音に耐えられなかったり、前庭感覚(後ほど説明)に鈍磨があり刺激が不足して辛いなど、感覚の違いが原因していることもしばしばあります。

爪や鉛筆をかじってぼろぼろにしてしまうのも固有感覚の鈍磨から刺激を求めている行動かもしれません。

なにか困ったことや問題があったとき、お子さんの特性を把握し、その原因を探るのがまず第一歩となります。

感覚の問題は生まれつきその状態なので、本人でも人と違うことをなかなか知ることができません。ですから感覚の違いが原因で困っていることに気付くことも難しいのだと思います。

感覚のことをうまく人に伝えるのは大人であっても困難なこと。ましてやコミュニケーション面で困難を抱える子供たちにはとても難しいことなのです。

感覚の違いを知ることはお子さん本人の困難に気付き、対応や工夫を考えるために大切な情報となると思います。

一番下にちょっと熱くなってしまったツイートを張っています。最後まで目を通していただけるとうれしいです。

 

どうやって感覚の違いを調べるの?

 どの感覚が過敏や鈍磨なのかを調べるために目安としてご家庭でもできるツール「日本感覚インベントリー(JSI-R)」があります。

JSI-R JSI-3D 日本感覚統合インベントリー

 ■JSI-R 発達障害児を対象とした感覚統合検査の一つです
 子どもに感覚刺激の受け取り方に偏り(感覚調整障害)がある場合、その傾向が様々な行動に表れてくることがあります。JSI-Rは、このような行動の出現頻度を調べることで、子どもたちの感覚刺激の受け取り方の傾向を把握しようとするものです。 JSI-Rは、「みんなの感覚統合」「感覚統合Q&A」で紹介されている「感覚発達チェックリスト」をこれまでの研究結果をもとに改訂したものです。項目は、前庭感覚、体性感覚、視覚などの感覚機能に関連すると思われる147つの行動項目から構成されています。 JSI-Rでは、結果を3段階評価で解釈ができるように作成されています。この評価尺度は、4才から6才までのお子さんを対象に保護者の方が評定したデータをもとに作成していますが、あくまでも大まかな目安程度のものですとくに対象児童の年齢が4才~6才ではない場合、評定者が保護者ではない場合、その解釈には注意が必要です。計算は、サマリーシートを用いて行います。まず各領域のスコア合計をサマリーシートRaw Scoreに記入します。次に、Raw Scoreを換算表より、3段階評価尺度へ変換します。

 こちらのサイトで質問用紙をダウンロードできます。

http://jsi-assessment.info/jsi-r2002.pdf

質問用紙に答えたらスコアを計算しサマリーシートに書き入れます。

http://jsi-assessment.info/summary2002.pdf

(どちらもPDFファイルです)

7つの感覚とその他についてGreen、Yellow、Redの3段階の評価になります。スコアがいくつからいくつまでがどこに当てはまるのかについてはサマリーシートに表があります。

 Green:典型的な状態(健常児の約75%に見られる状態)

Yellow:若干、感覚刺激の受け取りに偏りの傾向が推測される状態(健常児の約20%に見られる状態)

Red:感覚刺激の受け取り方に、偏りの傾向が推測される状態。すなわち、ある刺激に対して過敏だったり鈍麻である状態(健常児の約5%に見られる状態)

 この質問票は4歳から6歳のお子さんを想定して作られていますが、多少年齢が違っても大きなずれはないでしょうし、それ以外の年齢のお子さんでもその当時のことを思い出してみることで使えると思います。

うちの娘は8歳のころ、この検査を作業療法で受けました。分析は作業療法士の方が行ってくださったのですが、このように一般にも公開されている検査なのでご家庭でも目安として十分使えると思います。

ただ、使用上の注意にも書かれていますが「あくまでも目安」であり、診断が付くものではありません。お子さんの感覚の傾向を知るためのものです。

  JSI-Rは、自由にダウンロードして使用することができますが、以下の点にご注意ください。

1)JSI-Rは、単なる行動チェック表に過ぎませんので、この結果だけで、お子さんの状態を判断しないでください。
2)JSI-Rは、あくまでも行動の特徴/特性を捉えるためのもので、行動の優劣を測定するものではありません。
3)JSI-Rは、必ずしも感覚刺激の受け取り方の偏りだけを反映するものではありません。
4)3段階尺度による結果は、あくまで目安程度のものです。
5)感覚統合機能の評価のためには、この評価のみならず他の検査、観察より総合的に判断する必要があります。
6)JSI-Rは、評定者が異なる場合、その結果に差が見られることがあります(例えば、ある児童を保護者と療育者で評定した場合など)。これは、各々の評定者が、対象児童の別の行動側面を把握しているために生じると思われます。対象児童の包括的な理解のために、JSI-Rは、立場の異なる複数の評定者によって施行されることをお勧め致します。
7)JSI-Rを療育(治療)効果測定の手段として用いる場合、同一評定者による結果を用いて比較されることを強くお勧め致します。

 最終的な、結果の解釈につきましては、感覚統合に精通している専門家にご相談して頂くことをお勧め致します。

 

結果をどうみるの?

前庭感覚、触覚、固有受容覚、聴覚、視覚、嗅覚、味覚、その他、総合と評価があります。この中で前庭感覚と固有受容覚という言葉は聞きなれない方も多いと思います。

前庭感覚とは・・加速や回転など動きを感じる感覚

固有受容覚とは・・筋肉や関節の感覚

その他の箇所には質問を読んでいただければわかると思いますが、認知面や体質について書かれています。

各項目においてRedという判定が出た場合、その刺激に対して、過敏か鈍磨かどちらかに大きく偏っているということです。

たとえばうちの娘の場合、

前庭感覚Red、触覚Green、固有受容覚Red、聴覚Red、視覚Yellow、嗅覚Yellow、味覚Yellow、その他Red、総合Red 

とほぼ赤い結果がでました。前庭感覚、固有受容覚は過敏ではなく鈍磨が見られます。聴覚は過敏と鈍磨が同居している状態だそうです。

過敏なのか、鈍磨なのかは各項目の質問のどこにあてはまっているかを見ればおおよその見当がつくと思います。

前庭感覚が鈍磨だから動きを感じる刺激が常に不足しています。なのでその刺激を入れるために動くのです。逆立ちなども頻繁にしています。ADHDで多動があるのは感覚として受け取り方の違いが一つの原因だったようです。動いて刺激を入れるのは自分を落ち着かせるための方法なのかもしれません。

固有受容覚の鈍磨から強くかむ刺激を好みます。爪噛みや鉛筆をかじるのも不足する刺激を入れるための行為です。

「前庭感覚・固有受容覚の閾値が高く、強く激しい動きを脳が要求している。その結果、少しの刺激では満足できないため、大きな動きや、 動きの多さが目立つ。前庭感覚では動いて体のバランスを保とうとしている。固有受容覚では、多少の強い力には気づくことが難しい。他者にも力加減の調節が難しく、強めの力で触れてしまう。」

これが娘の結果で伝えられたことです。脳が強い刺激を要求しているのです。

 

結果をどう生かす?

感覚の問題は本人の努力や我慢でなんとかなるものではありません。成長によって変化する場合もあれば、感覚統合などのトレーニングを受けることで緩和することもあるでしょう。

しかし基本は生まれつき感覚に大きな違いがあることを認め、工夫でなんとか日常生活に適応して生きていかねばなりません。過敏すぎる刺激は出来るだけ避け、不足する刺激は問題のない形に変えて入れていくということです。

聴覚に過敏があればイヤーマフやデジタル耳栓を使う、できるだけ刺激を避けるなどでストレスを軽減していくなど。

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私自身、味覚と嗅覚に過敏を持っています。嗅覚のほうはさほど日常生活に影響はしないのですが、他の人があまり気にとめないにおいに強く反応し頭痛がしたりストレスになることも。

味覚のほうは偏食で、未だ食べられないものが多いままです。我慢して飲み込むことは可能でしょうが、苦痛でしかありません。慣れておいしく感じることはありません。栄養バランスが偏らないよう他に食べられるもので補えばよいだけなのです。

娘の持つ前庭感覚や固有受容覚の鈍磨からは、日常生活に大きく影響が出ています。多動やものを壊したり怪我もたえません。集団生活の中や家族と生活するためには困った行動も多く出てきます。

彼女の脳が刺激を求めている状態なので、無理やり止めさせるだけではストレスがかかるだけです。その刺激を別のもので代用する、暴れてはいけない場所といい場所を明確にわけるなどの工夫が必要です。

 カミカミグッズなど感覚刺激を入れるためのグッズもいろいろと売られています。息子はチュアブルネックレスの噛み心地が気に入ったのですが、娘は出し昆布の固さがちょうどよいようです。いつでも食べられるようにしています。

このように不足する刺激をいれることや過敏な刺激をさけることによってストレスを軽減できれば、他の困難の軽減に繋がることもあるのです。

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脳の働きの違いによって起きる困難、これは発達障害の特性全般に言えることだと思います。そのひとつとして感覚の問題が多いことを、お子さんの理解へと繋げていただけるといいなと思っています。

 

 こちらは日本感覚インベントリーを作られた太田先生の感覚統合の本です。感覚の発達を助けるためのご家庭でできる遊びや工夫がのっています。

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今年もやります!世界自閉症啓発デーコラボ企画参加者募集!

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4月2日は国連の定めた世界自閉症啓発デーです。

昨年の自閉症啓発デーでは啓発記事のコラボを企画したくさんのブロガーの方々にご参加いただきました。

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 昨年の経験を踏まえ、今年はテーマを設けさせていただきブログだけでなくツイッターからも参加していただける形にしようと思っております。

 

テーマは嬉しかった(お願いしたい)配慮とありがとうの気持ち

「啓発」ですから、一人でも多くの発達障害や自閉症と関係ない方々にどれだけ声を届けられるか興味を持っていただけるかが大切だと思います。

発達障害や自閉症がどんな障害であるかどんなことに困っているかを知ってもらうことも大切ですが、実際に一般の方々が一番知りたいことはなんだろう?と考えました。

知ってください、理解して下さい、だけでは知識として入っても実際どうしていいのかわかりづらいですよね。

身近に発達障害や発達障害かもしれない人がいた場合、具体的にどのように接するのがよいか?を知ることが一般の方々に興味をもってもらいやすいのではないか、役立つ情報となるのではないかと思いました。

発達障害といえどもその特性に大枠はあれど千差万別です。一人ひとりの特性を把握し、困難の原因を探り、対応を考えなくてはならない。それが一番いい対応策となるのですが、親でさえなかなか難しいことを他人に求めるのはハードルが高すぎます。

具体的にどういった配慮がうれしかった、こういうことをしていただけたら助かるということをみなさんそれぞれの視点で発信していただいて、対応のヒント集ができればいいなぁと思います。

発達障害をもつ人本人も困っている。でもその周りの人々も実は困っている可能性が高いのです。お互いの違いによるズレが社会的障壁を生みます。そのズレを少しでも互いに歩み寄ることができれば、お互いにとって過ごしやすい社会になるのではないでしょうか。困難をもつ方々が社会に共生していくための小さな橋を一緒に作りませんか?

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知ってください、理解して下さい、こんな配慮をしてください、だけでは相手にだけ歩み寄りを求める形になってしまい、関係ない方々に興味を持っていただくのは難しくなります。

「ありがとうの気持ち」を添えることで少しでもお返しができれば、多くの人にとって受け入れやすいものになるのではと考えました。

★具体的な配慮のエピソードに嬉しかった気持ちを添えてください。周りの方々からかけられた嬉しかった言葉でもOK。思いつかなければお願いしたい配慮でも大丈夫です。支援者の方でしたら見聞きしたエピソードやサポートの具体例を挙げていただけたら嬉しいです。

★大まかな特性や苦手なこと、配慮によって出来たことなどをわかりやすく書いていただければと思います。こんなタイプの方にこういう配慮が効果的だったというヒントになるかもしれません。

★細かい障害区分は一般の方にわかりにくいので自閉症だけでなくADHD、LDなどを含む発達障害全般を対象にしたいと思います。自閉症啓発デーですが発達障害啓発週間でもあります。

 

参加方法は?

前回もたくさんの方々にご参加いただき非常に長い記事になってしまいました。

今年は私の個人記事、皆様のブログ記事のリンク集、ツイッターのリンク集と3つの記事に分けて掲載します。

それぞれの記事のタイトルは検索などで長く読んでいただけるよう工夫したいと思います。

 

ブログの場合

参加表明してくださる方はこの記事へコメントを下さるか、ツイッター(ツイッターID:@Nanaio627)にて私にお知らせ下さい。コメントは承認制にさせていただいていますので反映されるまでに多少お時間をいただく場合がございます。

私の個人記事を自閉症啓発デー2日前の3月31日にアップいたします。

その前後に記事をアップしていただき、該当の記事のアドレスを私の記事のコメント欄かツイッターの方へリプライでお知らせいただければリンクを貼らせていただきます。できるだけ頻繁に確認するつもりですが即時対応はできない可能性が高いことをご了承下さい。

締め切りは一応4月2日(土)20時とさせていただきます。間に合いそうにない場合はご相談ください。

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 こちらの記事にリンクさせていただきます!

ツイッターの場合

 そのままつぶやいていただいて、ご自分のつぶやいたものに返信する形に(@Nanaio627)を付けていただいて私にお知らせ下さい。

@Nanaio627は半角文字でお願いします。全角文字だと届きません。

元のツイートがこれで

それに返信する形で(@Nanaio627)をつけて送って下さると私に届きます。

確認次第、私の方からリプライを送ります。

(リプライが来ない場合は確認できていない可能性があります。)

お知らせいただければ元のつぶやきをコラボ記事に貼り付けていきます。

該当する元のつぶやきをリプライの形にするとツイッター貼り付けの仕様上とても長くなってしまいますので、単独のつぶやきという形にしていただけたらありがたいです。(お知らせはリプライでお願いします)連続のつぶやきの場合、ツリーにせず単独の形で、お手数ですがひとつずつ私まで返信のリプライお願いいたします。

こちらも即時対応は出来ない可能性が高いことをご了承ください。

皆さんで共有しやすくするためにハッシュタグを使おうと思います。タグは2種類です。

 #自閉症啓発コラボ2016 #心遣いありがとう

この二つのうちつぶやきの内容に沿ったどちらかをつけてください。字数に余裕があれば両方でも大丈夫です。

※タグの前には半角スペースを入れてください。半角スペースがないと私のパソコンからタグがひろえない可能性があります。

タグはツイッターの性質上この企画をご存じない方にも広がる可能性がありますので、コラボ企画に使わせていただくのは私までリプライを下さったつぶやきのみになります。

テーマはブログと同じく嬉しかった配慮やお願いしたいことです。自閉症や発達障害に関係のない方々が読んでもわかるよう専門用語は避け、気持ちよく読んでいただける言葉遣いなどに心がけていただけるとありがたいです。多くの方に皆さんの言葉を届けたいのです。

締め切りは同じく4月2日(土)20時とさせていただきます。一度に貼り付け作業が難しいので3月31日から順次送って下さればありがたいです。

 

気をつけていただきたい点

今回は啓発ですので、自閉症や発達障害に関係のない方々へお互いが気持ちよく過ごせるための工夫の提案という形で、感謝を添えて多くの方へ皆さんの声を届けたいという企画です。

 関係のない方々が読まれるという前提でブログ記事やツイートを書いていただけたら幸いです。

ADHDなどはわりと知られている用語かもしれませんが、出来るだけ専門用語は避けて伝わりやすい言葉でお願いします。

日常の困難などで辛い思いを抱えていらっしゃる方々も多いと思います。しかし今回の趣旨として多くの方へ声を届けるために、イヤだった思い出などは避けていただければと思います。

申し訳ありませんが、今回の企画の趣旨とあまりに大きくずれていたり、多くの方が読んで不快を覚える可能性がある記事やツイートに関しては掲載をお断りさせていただきます。そのあたりの判断は私の一任ということにさせていただきます。何卒ご了承下さい。

 

一人でも多くの困難を抱える方々や、その周りの人々が気持ちよく過ごせる社会へ近づくための小さなアクションに、どうぞ力をお貸し下さい。

多くの方々の参加をお待ちいたしております!

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 こちらが私個人のコラボ記事になっています。

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リスパダールと不安の強い息子 自閉症スペクトラム児の薬物療法

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息子はとても不安の強い子です。受動型といわれるタイプで大人しく自分からトラブルを起こすことはめったにありません。

自閉症スペクトラムの特性である社会性やコミュニケーションやこだわりなどの問題は持っていますが、困っていても周りに迷惑をかけないため見落とされやすいタイプです。

うちの場合はたまたま娘がADHDと積極奇異型のアスペルガー症候群で診断までたどりついたため、息子の困難も見つけてもらうことができました。娘のことがなければ息子の困難には親の私でもなかなか気付けなかったと思います。それくらい手のかからない子でした。

でも息子はひとりでずっと困っているのです。

現在8歳になる自閉症スペクトラムの息子は昨年からリスパダールを処方されています。診断がついたのは2歳の時。今までは特に発達障害に対して薬の処方はされておらず療育や特別支援教育で対応していました。ところが日常のストレスから元々強かった不安がさらに増してしまい投薬になりました。最初はとんぷくで処方されましたが今は毎日飲んでいます。

今日は投薬に至るまで、保護者として迷い悩み決断するまでの過程と、薬に対する私の考えを書きました。投薬に至ったひとつのケースとして読んでいただければありがたいです。

 

リスパダール(リスペリンドン)はどんな薬?

リスパダールは第2世代の抗精神病薬です。統合失調症の治療薬としてよく使われるお薬だそうですが、自閉症スペクトラムに対しても2016年2月に正式に承認されました。

抗精神病剤「リスパダール®」小児期の自閉スペクトラム症に伴う易刺激性の適応追加承認取得|ヤンセンファーマ株式会社のプレスリリース

現在エビリファイも小児期の自閉症スペクトラムに対して承認申請を行っています。

<リスパダールの作用>

 【働き-1】
気持ちの高ぶりや不安感をしずめるほか、停滞した心身の活動を改善する作用があります。そのような作用から、統合失調症にかぎらず、強い不安感や緊張感、抑うつ、そう状態などいろいろな精神症状に応用することがあります。
【働き-2】
心の病気の一つ「統合失調症」は、脳の情報伝達系に不調を生じる病気です。現実を正しく認識できなくなったり、思考や感情のコントロールが上手にできなくなります。幻聴など幻覚、妄想を生じることも多いです。

このお薬は、そのような脳内の情報伝達系の混乱を改善します。おもな作用は、ドーパミンとセロトニンという2つの神経伝達物質をおさえることです。2つをおさえることで、統合失調症の陽性症状(幻覚、妄想、興奮)と陰性症状(無感情、意欲低下、自閉)の両方によい効果を発揮します。
【薬理】
脳内のドパミン2(D2)受容体を遮断することで、ドーパミン神経系の機能亢進により起こる陽性症状をおさえます。また、セロトニン2(5-HT2)受容体を遮断することで、ドーパミン神経系の働きがよくなり、陰性症状が改善します。このような作用メカニズムからから、セロトニン・ドーパミン拮抗薬(SDA:Serotonin-Dopamine Antagonist)とか5-HT2/D2拮抗薬などと呼ばれています。

 リスペリドン:リスパダール より引用

正式に自閉症スペクトラムに対して承認されたのは最近ですが、リスパダールやエビリファイは以前から発達障害児によく処方されている薬です。

 

リスパダールを処方されたきっかけ

息子は以前からなかなか寝付けない子でした。寝起きも悪く午前中はテンションが低いのですが、なぜか夜になるとだんだんハイテンションになり寝る時間のころにMAXになっていました。その状態ではなかなか寝付けません。

就寝時間の1時間前にはテレビやゲームなどのメディアはストップ、読書などをして過ごし気持ちを落ち着かせる工夫もしてみました。それでもなかなか眠れるようにはなりませんでした。次の日の学校を考えると本人も早く寝ないといけないのがわかっていて、眠らなきゃと焦れば焦るほど眠れず、泣き出してしまうこともありました。

本当に本人も辛い思いをしているので、医師に相談したところ頓服としてリスパダールを処方されました。どうしても眠れなくて辛いときに飲むことになりました。

リスパダールは娘が何年も前から処方されている薬です。副作用として眠気があり、娘も夜飲んでのび太かよ!と思うくらい布団に入ると一瞬で寝ています。娘の場合は眠るためではなく脳内多動を落ち着かせたり感情のコントロールをしやすくするために処方されています。

 

 息子の不安

息子がなかなか寝付けない原因は、布団に入っていろんなことを考えすぎ不安が止まらなくなることです。手入れをしていても布団の中にはダニが何万匹もいて、空気中にはホコリがたくさん舞っていて、今ぼくが呼吸をするとダニやほこりがぼくの体の中に入って、ぼくはアレルギーがあるから・・などと考えているのだと。

アレルギーがあるため空気清浄機もかけっぱなしにしていますが、その空気清浄機がぶおーっと反応してもホコリがいっぱいあるのだと不安になるそうです。

他にもいろんなことを考えているようですが、これはちょっとまずいなと思いました。息子のように不安の強い子は強迫的になりやすいそうです。このままだと強迫神経症などの二次障害に至ってしまうのではないかと。他のストレスもあいまって不安がより強くなっているようでした。主治医に相談し、とんぷくだったリスパダールを毎日飲むようにしてもらいました。

最近は冬だったということもありまた調子を崩し気味の息子ですが、リスパダールを飲みはじめてから寝つきも少しよくなりましたし、布団の中での考え事も不安を強めることではなく好きな数学について考えることが多くなったようです。

 

子供に精神薬を飲ませることに対する不安

かわいいわが子に精神薬を飲ませるのはできれば避けたい、不安だ、そういう気持ちはみなさん感じていらっしゃることだと思います。もちろん私もそうでした。

最初に投薬を勧められたのは娘が5歳になるかならないか、発達障害と診断がついて間もない頃でした。娘のADHDを疑っていたもののなかなか専門家と繋がることができず娘も私も限界がきていました。薬を使って娘が落ち着けば、私にも余裕が出来るだろうというお話に非常に抵抗を覚えました。こんな小さい子に薬を飲ませるくらいなら私が飲みます!と言ったものでした。

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 今から考えれば、親子関係の修復のためにという主治医の判断は正解だったと思います。保護者である私に気持ちの余裕がなければ適切な対応をすることもできません。それは娘にとっても決してよいことではありませんでした。特に小さい子にとって、親は世界の多くの部分を占めます。親の辛さや苦しさは子供に直結しやすいのです。

主治医は無理に勧めることもなく私の子供へ薬を飲ませることに対する不安や疑問に丁寧に付き合ってくださいました。決断するまでは半年ほどかかったと思います。

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 もちろん薬には合う合わない、副作用もあります。最初はごく少量からはじめ、様子を見ながら微妙な調整も必要です。子どもの体の変化や成長によっても変わってきます。

服用することを決断した後も、いつまで続けるのか、薬をやめられるのかなどの心配がつきまといます。一時的にはよくても長期服用となるとどうなのか、不安ですよね。

私自身も長くその不安を持っていました。娘はリスパダールとコンサータで途中やめたこともありますがもう5年の長期服用をしています。いつやめられるのか、このまま飲みつづけなければならないのか。

結局は小さい子に対する処方は親の決断次第。それに対する罪悪感があったのだと思います。だから早くやめさせなければという焦りがありました。

でも答えは娘本人が出してくれました。成長にともない娘は薬を飲んでいる時とそうでない時の自分の変化についてはっきりわかるようになり(コンサータは12時間で切れるよう設計されている薬で学校に行かない日は休薬しています。)自分の状態を見ながら今薬が必要かどうかを判断し調整できるように徐々になっています。休薬している夏休みの間でも「今日は集中してがんばりたいから」とコンサータを飲む日もあります。説明書を読むのが大好きなので薬の作用も副作用も私以上に熟知しています。

長期服用をしていても飲まない日は別に平気なようですし依存症状も今のところは全く出ていません。

おそらく今後、成長することで薬がなくてもやっていけると自分で判断すれば彼女は自分から薬をやめるでしょう。必要だと思えば続けると思います。

コンサータの場合は効いている時間が限られるためはっきりしていますが、リスパダールは継続して飲んで効果のある薬なのでわかりにくいかもしれません。

しかし今は私の説明の元でリスパダールを飲みはじめた息子もいずれは自分で判断することが出来る時期が来ます。今は息子の辛さを軽減することを一番に考え投薬に踏み切りました。

息子のように繊細で過敏なタイプはうつ病などの二次障害のリスクが高いのです。状態を丁寧に見て防げるものなら防いでいかねばなりません。そのための投薬です。

不安をやわらげるために本を読んだりトレーニングもしてきました。これで眠れるようになったり効果を感じた時期もありました。しかしキャパオーバーしてある程度以上に強くなりすぎた不安をコントロールすることは難しかったようです。自分でコントロール不可だから障害なのですが、こうなると薬の手助けが必要だと判断しました。

だいじょうぶ 自分でできる心配の追いはらい方ワークブック (イラスト版 子どもの認知行動療法 1) (イラスト版子どもの認知行動療法)

だいじょうぶ 自分でできる心配の追いはらい方ワークブック (イラスト版 子どもの認知行動療法 1) (イラスト版子どもの認知行動療法)

 

 薬を飲んだからといってぴったり不安が止まるわけではありません。薬で和らいだ不安をこの本にあるような方法でコントロールしていくことが出来れば一番いいと思います。

 

 発達障害児の薬物療法とは

発達障害は生まれつきの特性でありその特性がなくなることはありません。しかし成長に伴い凸凹の凹んだ部分に対して自分なりの工夫を見つけ、社会に適応していく場合も多くあります。人間は社会を作る動物である以上は、無人島でサバイバルでもしない限り社会と関わって生きていかねばなりません。多くの人と違った特性を持っていても適応して生きていかざるを得ないのです。

療育や特別支援教育、子供の特性に沿った対応は、その成長を助けるためのものです。しかし、障害と名のつく以上、本人の努力や環境調整ではどうしようもない部分が出てきます。そこをサポートするひとつの手段として薬物療法があると考えます。

治療薬といっても発達障害を完治させるものではなく一時的に症状を抑える対処療法です。一時的とはいえ、成長過程にある子供にとっては出来ることを増やし自信をつけて、心の成長を阻害しないためにも必要なケースもあります。日常の様々な出来事や、学校生活でのストレスから二次障害を起こしてしまう予防にもなります。

発達障害は生まれつきの特性ですが、二次障害は心の病気です。回復までに長くかかってしまい子供の人生を大きく左右してしまう場合もあるでしょう。防げるものなら防ぎたい。薬がその手助けになるなら、子供の笑顔を守れるのであれば、使ってみようと決断しました。

成人当事者の方々も二次障害を抱えながらお薬によって日常をコントロールし、前向きに暮らす方も多くいらっしゃいます。実際に自分が薬を体験することはできない分、当事者の方の発信はとても勉強になります。

fumikichi2525.hatenablog.com

ふみきちさんは発達障害の当事者でもあり、発達障害児を育てる先輩保護者でもあります。 

ふみきちさんも書いていらっしゃるように、私も薬物療法を勧めるわけではありません。

薬を使わずお子さんが健やかに成長されるのが一番よいと思います。そして薬を使う前にはまず環境調整などできる範囲の努力をやってみて、それでも困難が大きい場合は一つの手段として、うちは投薬を選んだという話です。

お医者様にお薬を勧められ悩む方々にひとつのケースとして参考になればと思い書きました。お薬の効果も副作用も人それぞれです。信頼できるお医者様と納得がいくまで話し合われた上で検討していただければと思います。

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発達障害の薬物療法?ASD・ADHD・複雑性PTSDへの少量処方

発達障害の薬物療法?ASD・ADHD・複雑性PTSDへの少量処方

 

nanaio.hatenablog.com

もうすぐ!自閉症啓発デーコラボ企画のわかりやすい参加方法

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今年もまもなく世界自閉症啓発デー&発達障害啓発週間です。

昨年もみなさまのご協力で行った自閉症啓発デーコラボ企画、今年もやります!

nanaio.hatenablog.com

 先日こちらの記事でお知らせしたものをまうどんさん(id:mauzounさん)がわかりやすいイラストにしてくださいました!

まうどんさんのブログはこちら。

マンガ蒲田家★定型外家族

 

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ひとりでも多くの方々に発達障害をもつことで困っている人々のことを知ってもらい、共に社会を形成していく仲間として、お互い過ごしやすい世の中を実現するための小さな取り組みです。

小さな声でもみんなで声を合わせれば少しでも遠くに届くかもしれない。

みなさまそれぞれの視点からの発信をお待ちいたしております!

最近我が家の子供たちのお気に入りがこれ ↓

ビーズクッション アースカラーキューブチェア Lサイズ ブラウン PCM-6512T

ビーズクッション アースカラーキューブチェア Lサイズ ブラウン PCM-6512T

 

 「人をダメにするソファ」などと呼ばれているようですが、ほんとに気持ちいいです。体にフィットするので座ってしまえば体に沿ってしっかり固定してくれるので、集中して宿題などをこなすときによいようです。

子供たちで取り合いになるのでもう一つ買おうかなぁと思っています。

 昨年の自閉症啓発デーコラボ記事です。

nanaio.hatenablog.com

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現役東大生が50円で売っていたので8歳児と数学を語ってもらった話

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50円で東大生が売ってたので買ってきました。 

www.ryosuke-takano.net

これは!!

東大生だから東京在住だよね?こんな遠い地方まで(中国地方)本当に交通費自己負担で学生さんが来てくれるんだろうか?(いやいや東大生だからもしかしてお金持ちのご子息かもしれない)ダメ元でとりあえずチャレンジ!ツイッターで問い合わせをしてみました。

依頼した内容は「小学2年の息子と数学を語ってほしい」

なんと即答で引き受けてくださいました。たぶんね、遠いし相手は子供だし最初は(ゲッ!)って思われたと思うんですよ。ブログの記事をいくつか拝見しましたがお若い方のノリで私とは全く接点はなさげですし。でも国内ならどこでも行くと書かれた以上断るわけにもいかないでしょうし引き受けてくださったんだと思います。

ダイレクトメールで日時の打ち合わせ、うちの息子が自閉症スペクトラムであることを含めどんな子であるかを説明しました。なぜ私がこの企画にこういう依頼をしたのか?は後ほど。

 

息子の数学スペック

このブログを何度か読んでいただいている方はご存知かと思いますが、ざっくりと息子がどういう子なのかをご紹介します。

息子は自閉症スペクトラム(広汎性発達障害)です。受動型と言われるとても大人しく、周りに迷惑をかけることはなくても一人で困っているタイプです。場面かんもく気味で家ではよくおしゃべりをするのですが学校で自分から誰かに話しかけることはほとんどありません。(話しかけられれば答えます)

不安が強く過敏なので集団ではとても疲れてしまうため、情緒の特別支援学級に通っている小学2年生です。

なにかと困っていること、できないこともありますが、息子にはひとつ得意なことがあります。それが数学です。

3歳で四則演算、4歳で素因数分解や平方根を理解し幼稚園で小学校の算数は終わりました。昨年は数学検定3級(中学3年程度)を取得し今は高校数学をやっています。算数オリンピックにも挑戦しており昨年はキッズBEE部門で金賞と最優秀賞の長尾賞をいただきました。

nanaio.hateblo.jp

 今までは、私が家庭でわからない問題を教えたり一緒に考えたりしてきたのですが、こだわりの強い性質なので彼は一日中数学のことを考えています。そろそろ私では息子がなにを言っているのかさっぱりわからないレベルになってきました。

とこんな調子です。毎回ツイッターでつぶやいてはご親切な方が息子にわかるよう解説してくださってありがたい限りです。しかし、もう現実で息子の周りに息子の疑問に答えてくれる人はなかなかいないのです。

現役東大生りょーすけさんとお会いして数学の話ができるかもしれないと息子に伝えたら「おおーー!!」と目が輝きました。

 

当日

3月21日、春分の日の振り替え休日です。お昼過ぎに到着されるということで駅前でランチをいただきながらお話をすることになりました。

ブログで拝見していた写真どおりの青年がやってきました(当たり前)私も子供たちも緊張です(汗)

ランチを食べながら私とお話をしていくうちに、徐々に息子に話をふって数学の会話が始まりました。

「素数が無限に存在する証明のこと聞きたかったんだよね?」とおっしゃって下さいましたがそれはツイッターで解決済みでした。

息子「証明はわかったけどなんで素数が無限にあるのか理由がわからない」

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ノートに書いて背理法とは何かから丁寧に説明してくださるりょーすけさん。その後も「フェルマーの最終定理のここがおかしいと思う」などという息子の(私にはわけのわからん)質問にいろいろと答えてくださいました。

息子は自分の考えていることを相手にわかるように説明することは苦手です。相手にわかるように説明するためには、相手がどれくらいの知識があるかを探らなければなりません。コミュニケーションに困難をもつため思考は得意でもアウトプットに問題があります。

そこは流石の東大生、息子のつたない説明もすいすい吸い上げて理解してくれます。その他、モンティ・ホール問題など数学のおもしろいお話や物理のお話など私にもわかるくらい噛み砕いて教えて下さいました。

ブログを拝見している限りもっとユーモアに富んだ方かと思っていましたが、おばさんと子供の前ではそういうキャラというわけにはいかなかったのでしょう。とても誠実な好青年でした(*´ω`*)

2時間ほどたっぷり息子の話にお付き合いいただいて、最後に記念写真。

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長男、次男、長女といった感じでしょうかw

娘も一緒に行きたいというので連れていきましたが、今回は息子と数学の話をしてもらうという趣旨なので娘はipadでゲームをしながら大人しくすることという条件付きです。ADHDで多動のある娘はおしゃべりを始めたら止まりません。せっかく来ていただいたのに娘の独壇場になることは避けようと。その代わりビュッフェスタイルだったデザートをこれでもかというほどもりもり食べていました^^;

娘も約束を守ってがんばりました。本物の東大生が見られておいしいデザートで満足したようです。

息子は「貴重な経験だった」といつもながら子供らしからぬ発言ですが、とても楽しめたようでした。

うふふ。変わってますからね。うちの息子は(´・ω・`)

 

私がこういう企画に応募する理由

 以前も別の方に子供たちと一緒にお会いしていただいたことがあります。教育youtuberの葉一さん。イベントで多くの応募者の中から選んでいただきました。

nanaio.hatenablog.com

この時も子供たちはとても喜んでいました。今でもツイキャスなどを通じて子供を直接応援していただいたり交流させていただいています。

今回は、息子の周りに息子の数学の話をわかってくれる人がなかなかいないことから、東大生のりょーすけさんにお願いしました。

息子は大好きな数学の話で誰かと会話が盛り上がったことは、今まで経験がありません。幼稚園に入ったころに周りのクラスメイトに話していたことがあるのですが、当然周りの子供たちはちんぷんかんぷん。逆に周りの子供たちが好きな戦隊物などには息子は全く関心がありません。どうも同じ年頃の子供たちと興味の対象が違いすぎることに気付いた息子は次第に話さなくなりました。

学校でも人と関わって遊ぶよりもひとりで考え事をしてクールダウンしたい息子。同世代に友達と呼べるような関わりはほとんどありません。

いつか息子と楽しく数学の話ができる人と触れ合うチャンスがほしいと前々から願っていました。

今回は初対面で楽しく会話が盛り上がるところまでは人見知りの息子には難しかったのですが、自分の数学への疑問にその場で答えてくれる、打てば響く相手と直接お話ができたというのは息子にとって本当に貴重な体験となったと思います。

わずか50円で遠く離れた地方まで足を運んでくださりりょーすけさんには本当に感謝です!

今は小学生ですがこれから大きくなるにつれどんどんと手が離れていく子供たち。周りとの違いに気づき始め、発達障害というハンディキャップと向き合っていかなくてはなりません。親が色濃く関わっていける時間も限られています。

子供たちから見える世界を広げる手伝いができるのもあとわずか。途中に大きな困難があったとしても、大人になって生きていくことをポジティブに捕らえてほしい。親である私がその背中を見せられればよいのですが、キラキラ輝いているほかの大人の方々と直接触れ合う機会はきっと子供たちの記憶に残るものだと思います。

4月には仕様変更があるようですが、まだ募集されているみたいですよ。

りょーすけさん、息子に貴重な体験をどうもありがとうございました!

そしてツイッターでいつも息子の疑問に答えてくださるみなさまにも感謝いたします!

先日ツイッターで教えていただいたこの本、息子が一気に読み漁っていました。

 娘は興味が飛び散りまだこれといって目標は定まっていませんが、子供たちが好きなことをどんどん突き進めていくことは、それが直接将来に繋がらなくてもきっと生きていく土台となってくれるであろうと思っています。

 

東大生高野さんの体験記が本になって出版されました!今回の息子との話も載せていただいています。他にも興味深いお話がたくさんですので是非!

 

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私たちはあなたの身近で生きています。世界自閉症啓発デーに寄せて

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 私の子供たちふたりは「発達障害」と診断を受けています。

発達障害は生まれつきの特性により得意なことと苦手なことの差が大きく、感覚などの違いをもつために日常生活に困難を抱える障害です。「発達しない障害」ではなく、発達のスピードに凸凹があり興味に偏りが見られます。

うちの子供たちは見た目でも障害をもっていることはわかりませんし、おそらくよほど詳しい人でない限り話しても気付かれることはありません。

娘はとても活発で明るくよくおしゃべりをする女の子、息子は大人しいおっとりした少年、そう見える程度です。しかしそれぞれに社会生活に困難を抱えています。うちの子供たちの場合は主に社会性やコミュニケーション面での困難があります。

私の子供たちは理解ある周りの方々に恵まれ、充実した支援環境の中で育っています。スピードの凸凹はありますが、確実にできることを増やし学び続けています。これは今の体制を築いてくださった行政の方々、専門職など支援者の方々、同じく障害児を育てる先輩保護者の方々の努力の上に成り立っているものです。

そして、発達障害というものを知ろうとしてくださる一般の方々、発達障害児というくくりではなく、私の子供たちをいち個人として接してくださる周りのみなさまの暖かいお気持ちに支えられています。

 

サポートを受ける前の私たち親子

専門家につながることができたのは娘が4歳、息子が2歳の時でした。

娘は暴れて座って食事をすることもできず、「危ない!」といっても全く人の指示には従わない子でした。歯磨き一つでこの世の終わりのように泣き叫び、外に出れば興味にまっすぐ走り抜け一瞬で消えてしまいます。

特に身体的にも知的にも発達の遅れがなく流暢にしゃべる娘。検診で問題を指摘されたこともありません。当然のことながら周りから「しつけが悪い」という評価をされてしまいます。

私はなんとかしなければとどんどん娘に厳しく接するようになりました。しかし娘は変わりません。障害でできないことを厳しくして無理やりさせようとしていたのですから当たり前なのです。視力の悪い人に根性で見ろといってもできないのと同じです。

それに気づいていなかった私は益々追い詰められ、そして娘を追い詰めました。

 

世間の目が怖かった。

外に連れて行くのも苦痛だった。

振り上げた手を何度も食いしばって下ろした。

一緒に消えてしまいたいと脳裏をかすめたことも何度もあった。

 

娘に吃音が出るまで追い詰めました。(吃音の原因は様々で、一概にストレスが原因とは限りません)ダメな母親です。支援に繋がるのがもう少し遅ければ、虐待に走っていた可能性は大きかったと思います。いや、すでに虐待だったのかもしれません。

そんな私たち親子に支援につながる手を差し伸べてくださる方が現れました。

 

ありがとうを伝えたい

私の子供たちは運よく幼児期に専門家に繋がることができ、療育をうけ、幼稚園や小学校で特別支援教育の理念の下にサポートを受けています。

そして周りの方々にもひとりの子供として受け入れていただいています。

もし、未だ子供たちの困難に気づかず支援を受けていなかったら、今の子供たちの困難はもっと大きかったことでしょう。

「障害」といっても苦手なことが一生涯できないわけではありません。適切な環境があれば苦手だったことも少しずつ伸びていくのです。できないことも工夫で補う力をつけることもできます。

片時もじっとしていられなかったADHD(注意欠陥多動性障害)の娘が、通常学級で一日中座って授業を受け、毎日楽しく学んでいます。

自閉症スペクトラムを持ち、人のいる遊具に近寄ることもできなかった息子がみんなと一緒に運動会に参加しています。

まだまだたくさんの苦手を抱える子供たちですが、周りの方々に支えられこれからも伸びていきます。いずれ障害という枠がなくても社会に出られる可能性もあるのです。

今では息子が支援学級に在籍しているので何かの障害をもっていると周りの方々は当然知っていると思いますが、交流学級(一般のクラス)でもクラスメイトの一員として受け入れられています。保護者の方々も半分は幼稚園の頃から一緒ですので息子個人を知ってくださっています。

「障害児の○○くん」ではなく、「○○くんには何か苦手なことがある」という受け止め方をしていただいています。

もちろんいろんな考えの方がいらっしゃるので、障害児だからなにをするかわからない、怖いと思われていらっしゃる保護者の方もいることでしょう。しかし特に分け隔てのない環境があるおかげで、私の子供たちは直接、障害による差別で傷つけられた経験はありません。

これは本当にありがたいことです。差別というのは無意識でも誰の心の中にも存在するものです。どこまで自分の中の差別を自覚し表出するかはその人の人間性や環境によるものでもあると私は思っています。

当たり前に私の子供たちを受け入れてくださる周りの方々、そして少しでも関心を持ちこの記事を読んでくださる方々に、心から感謝いたしております。

本当にありがとうございます。

 

 困難を抱えたすべての子供たちに適切な支援環境を

 私の子供たちはとても「恵まれた支援環境」と書いたのは、これが同じ日本国内でも地域によっては当たり前ではない現実があります。地域格差がものすごく大きいのです。

幼稚園や保育園に障害を理由に門前払いをされる、支援学級が完全に隔離され排除の場となっている、知的な問題がないお子さんでも通常のカリキュラムの教育を提供されない、中学校で内申書をもらえないため公立高校受験に挑戦することもできない。

受けられる療育機関がない、あっても専業主婦家庭でないと通えない、金銭的にも負担が大きい。

このように、たまたま住んでいた地域によって全くと言っていいほどサポートが受けられない現状があります。

文部科学省の調べによると通常学級に在籍する生徒の約6%に発達障害傾向が見られるそうです。普通のクラスでも一人か二人はいるということです。実はとても身近な存在なのです。

適切な支援があれば社会で活躍し還元できる力を持つ子供たちも多く含まれます。そうでなくても子供たち一人一人は健全に育って社会の中で生きていく権利があります。

多くの方に知っていただくことで一人ひとりの意識が少しでも変わっていけば、日本中の困っている子供たちが適切な支援を受けられる環境が実現するかもしれません。

大きな社会はひとりひとりが寄り集まって出来ているのですから。

私たちは世間のみなさまと同じく社会を構成する一員として、共に暮らして生きています。あたたたちの身近にいます。

 

4月2日は世界自閉症啓発デー

4月2日は国連の定めた世界自閉症啓発デー、そして4月2~8日は発達障害者啓発習慣です。

 今回は多くの発達障害当事者、保護者、支援者の方々と一緒に「嬉しかった配慮に感謝の言葉を発信していこう」というコラボ企画を呼びかけています。

上にリンクした成人当事者でもあり先輩保護者でもあるふみきちさん(id:fumikichi2525さん)のツイートにヒントを頂きました。

nanaio.hatenablog.com

 発達障害を持つことで困っているのは本人だけではなく、周りの方々も困っています。違いがお互いの障壁になっているのだと思います。

少数派である私たちのほうから情報を発信することで、少しでも身の回りの困ってる困った人達との間で、どうすればお互いにストレスなく過ごせるかのヒントになればと思い今回の企画を思いつきました。

4月2日に向けて続々とコラボ記事やツイートが集まる予定です。別記事にてリンクをしていきますので是非とも目を通していただけたらありがたいです。

(4月1日にコラボ記事などのリンクをした記事をアップする予定です!)

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 4月2日は世界中で有名な建物が青くライトアップされます。日本でもあちこちでライトアップされます。

青く美しい光で、私たちの存在に思いをめぐらせていただければ幸いです。

 

たとえばうちの子たちの場合

 <娘の場合>

短期記憶に苦手があります。指示をするときに同時にいくつか出されると記憶からこぼれ落ちてしまいます。指示はひとつずつ簡潔に、もしくはメモなどで忘れても確認できる形にしていただければできます。

注意がいろんなところに飛び散りやすいので、なにかをしなければならない時は音、映像、物など不必要な刺激ができるだけ少ない環境なら取り組みやすいです。

<息子の場合>

言葉を字義通りにとらえるので、あいまいな表現は判断が難しいです。たとえば4歳の時「四角に名前を書きましょう」と言われて書けませんでした。文字はもうとっくに書けるようになっています。四角に「なまえ」と書くのか自分の名前を書くのかわからなかったのです。一度間違えたことはできるようになっていますが、今でも初めての抽象的な指示はどうしていいのかわからず、固まってしまいます。具体的な指示をしていただければありがたいです。

不安が強く見通しがたちにくいため、なにか新しいことをするときは終わりの目安や手順をおおまかでも伝えていただければ安心して取り組めます。

発達が気になる子への生活動作の教え方―苦手が「できる」にかわる!

発達が気になる子への生活動作の教え方―苦手が「できる」にかわる!

 

 同じく発達障害という診断をもつふたりも全く違うサポートを必要としています。「できないこと」が言葉の言い回し、ちょっとした環境次第で「できること」に変えられることは多々あります。このような周りの方のご理解や心遣いがこの子たちの「めがね」の役割になるのです。

もちろん本人たちもパターンを学び、周りの多くの方々と共にやっていけるよう努力を続けています。応用が利きにくい特性をもつため、多くの方がオートマチックでできるようになることが、一つずつマニュアルで覚え操作していかなくてはなりません。そのぶん負荷が大きいためキャパシティーが限られてしまうこともあります。

 

一般の方々と同じく、発達障害を持つ人々も千差万別です。子供だけでなく大人も発達障害を持ちます。発達障害だからこうすればいいという決まったものはありません。全く逆の対応が必要な場合もあります。

もしもあなたの周りに困っている、困った人がいれば、ひとりひとりを見て、何に困っていて、どうすればお互いにとっていいのかコミュニケーションをとっていただけたらありがたいと思います。

お互いをもっと知ることで、お互いが気持ちよく過ごせる社会の実現を願っています。

自閉症をはじめとする発達障害を知っていただくことは、発達障害を持つ人だけでなく、誰もが暮らしやすい社会の実現にきっとつながります。

みなさまのご理解とご支援をお願いいたします。

nanaio.hatenablog.com

 賛同してくださるみなさまから寄せられたコラボ記事のリンク集です!

nanaio.hatenablog.com

 みなさまから寄せられたコラボツイートをリンクしています!是非こちらも!

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あなたの周りにも困っている人いませんか?みんなの世界自閉症啓発デーコラボ2016!ブログ編

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どうしてできないの?どうして伝わらないの?周りの人にそんなもやもやを抱えていることはありませんか?

みなさんも困っている、でもその人も困っている。

もしかして、発達障害などの認知や感覚の違いがあるのかもしれません。発達障害と正式に診断されていなくても傾向をもつ人は数多くいると言われています。私もおそらくその一人です。

自閉症はスペクトラム(連続体)という考え方で、その特性にどこかしら該当する部分がある場合も多いと思います。日常生活に大きな支障をきたしているかどうかで障害と診断されるかの境目となるそうです。障害とまではいかなくても、もって生まれた特性からなんらの困難があったり周りとうまく行かないケースもあると思います。

医師でない人が他人を勝手に「診断」することはとても失礼なことですが、もしかして本人が困っている人かも?と想像することはできるかもしれません。

実はちょっとしたお互いの工夫で解決できることもたくさんあります。 

そしてみなさんのあたたかい心遣いで救われることもたくさんあります。

4月2日は国連で定められた世界自閉症啓発デーです。4月2~8日は発達障害啓発週間でもあります。この機会にみなさんにありがとうの気持ちを伝えたい。

こんな心遣いがうれしかった感謝の気持ち、こんな風にしていただけたら嬉しい配慮などをコラボ記事として、発達障害にまつわるみなさんに書いていただきました。4月2日に向けて続々と記事が集まってくる予定です。

この中にもしかしたらあなたの周りの困っている人たちとスムーズにやりとりができるヒントがあるかもしれません。気になる記事があれば是非目を通してみてください。

(サイトの違いでブログカード形式にリンクできない場合があります。ご了承ください。投稿した順、私にお知らせいただいた順にリンクしております。)

 

 

 

 

https://fuwafuwa-1centi.theblog.me/posts/677155

 『世界自閉症啓発デーに寄せて(なないおさんコラボ企画)』マイペースLIFE

発達障害児の保護者であるママリーゼさんの記事です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

pluie de météores: 「そういうひと」ってだけ。(自閉症啓発デーコラボ記事)

当事者であるもりさんの記事です。

 

 

 

 

 

「ありがとう」★4/2世界自閉症啓発デーコラボ企画記事★ | マンガ蒲田家★定型外家族

発達障害児を育てる保護者まうどんさんの記事です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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是非、私たちの声に耳を傾けてください。

コラボ企画のツイート集アップしました。こちらも是非ごらんください! 

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家庭学習で挑んだ発達障害児の中学受験、こじれた親子関係と児童相談所

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間も無く2018年も終わろうとしていますね。

気がつけば一年以上ブログを更新しておらず、少しずつ今までのことを記録していこうと思います。今回はアスペルガー症候群とADHDを持つ娘の中学受験の話です。

 

合格と中学での支援

娘は現在中学一年生。今年の年明けに公立中高一貫校を受験し無事合格。というより寸前までC判定でほぼ諦めていたのにまさかの合格でした。

入学手続きを済ませた後に、中学校に娘が発達障害を持つこと、支援について相談したいことを伝えました。本来なら受験前に相談すべきことでしょうが、倍率の高い公立校で事前に障害を持つことを知られて選考に影響するのが怖かったのです。障害が選考に影響すればそれは差別なので基本的にはありえないのですが、選考基準がオープンにされていない以上、こちらからはわかりません。公立校であれば合理的配慮をする義務があることも含めての賭けでした。

小学校に比べて中学は支援が手薄いというのはいろんなところから聞いていただけに、覚悟をしての相談。ところがびっくりの手厚さでした。

最初から支援コーディネーター、担任、学年主任、養護教諭、各先生方が集まってくださり、服薬管理のことから苦手なことのフォロー、それに対する評価の付け方まで配慮について色んな提案をいただきました。

実際に中学校に通い始めてからは、荷物のあまりの重さに耐えられなかったり、朝が起きられず遅刻が多くなり、大量の宿題は全く追いつかず、提出物は失くしてばかり。次々と困りごとが出て来ました。

一番疲れが出てくる夏休み明けには、眠気がひどくなり、授業中も起きていられないどころかテスト中まで寝ている始末。先生がつきっきりで別室受験をさせてもらっても起きられない状態でした。

それを一つ一つ担任の先生、主治医の先生、児童相談所と話し合いながら調整して行きました。(児童相談所と繋がることになったお話は後ほど)

今では宿題の管理ノート、着床時間起床時間のチェック、持ち物一覧表、週に一度の持ち物を整理して減らすことまで個別に担任の先生に付き合っていただいています。

おかげさまで二学期の後半は遅刻もほぼなくなり、投薬調整もうまく行って授業中に眠ることもあまりなくなり、底に貼り付いていたテストの成績も(テスト中寝てたので仕方ないですが)少しばかり向上しました。

何よりも一番良かったのは娘本人が「学校がすごく楽しい」と言っていること。

学業的にはギリギリで引っかかっただけについて行くのは大変ですが、やはり周りの落ち着いた環境には馴染みやすく、友達も少しずつ出来ているようです。

担任の先生も娘が周りから浮かないように心配りをしてくださいます。

 

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(画像はフリー素材で娘ではありません)

 

受験までの混乱と児童相談所

一方で、受験までの道のりは大変でした。娘は通塾はしていませんでした。季節講習とテストだけは日能研でお世話になりましたが、あとは家庭学習でやって来ました。

我が家は母子家庭のため、高い塾に入れてやることが出来ませんでした。季節講習が精一杯です。いくつか塾を見に行きましたが、うちの子に合う本人が行きたがるのが日能研だけでした。

そもそも宿題すら手をつけるのが大変なADHDの娘。家で膨大な量の家庭学習を行うのは至難の技でした。一定以上の難関校の中学受験は、学校で習うことだけでは到底無理です。中学受験用の学習をがっつりやらなければどうにもなりません。

勉強しなければならない、させなければならない、でもできない。毎日のように激しい親子バトルです。テキストに取り掛かるのは大変な子なので、学習漫画を揃えたり色んな授業動画やアプリを使って工夫もしました。それでもお互いにストレスはかかる一方。

こんなに大変なのならもう中学受験は諦めよう、第二志望か地域の中学校でもいいじゃないかと何度も娘に言いましたが、頑なに娘は諦めないと言います。それには理由がありました。

パニックを起こした娘が暴れることも頻繁になってきました。私も口を荒げてしまいます。今年の1月、とうとう限界がきて、私が自分で警察を呼びました。警察の方は親身に娘と私の話を聞いてくださり、その場は収まったのですが、度重なるトラブルにどうやって娘に接して良いのやらわからなくなっていた私は、自らお願いをして警察から児童相談所に繋いでもらいました。もちろん娘本人も限界まで追い詰められていたことでしょう。

児童相談所は被虐待児の保護のことをよくテレビで取り上げられていますが、名前の通り児童に関する相談を受け付けてくれるところです。被虐待児の保護だけではなく、不登校や発達の心配、非行、子育てのあらゆる相談に乗ってくれます。ただ、地域によっては児童相談所のキャパがいっぱいで緊急性があると判断されたものが優先になっているところも多いと思います。うちの場合は警察から繋いでもらったので緊急性が高いと判断されたのかもしれません。

娘と私は親子関係の調節ということで月に一度通うようになりました。臨床心理士さんが娘と私の両方の話を聞いてくださり、どうして行きたいのか、どんな工夫ができるのか、毎月一つずつ約束をして話し合いを重ねて行きました。おかげさまで親子で言い合いになっても、今ではそこまで大きくトラブルになることなく生活ができるようになっています。

もうすぐ児童相談所に通って一年。あと数回で卒業しましょうというところまで来ています。娘も言っていましたが、親子だけの密室空間よりも、第三者を挟んで話し合えたことは冷静になれるし互いの気持ちも誤解なく確認できるのです。相談したことで私たち親子は大きく救われました。

娘が受験にこだわった理由

これだけ大変なストレスを抱えながらも娘が中学受験にこだわった理由がわかったのは、合格が決まって小学校の卒業式寸前のことでした。

「卒業式に出たくない。明日からもう学校行きたくない」

ああ、これは何かあったのだなと思った私はすぐに

「いいよ。出たくなければ休めばいい。理由は話せる?」

「言いたくない」

「ならいいよ。でも学校には聞かれるかもしれないね。」

翌日休むことと本人が卒業式に出ないと言っていることを学校に伝えると、何があったのか担任の先生からお話を聞くことが出来ました。

ざっくり言うと割と派手なタイプのお子さんのグループとトラブルになり娘がみんなの前で一方的に責められていたと。先生も止めに入ったけども大人の指示に従う相手ではないのです。その後娘が、以前から忘れ物など失敗するたびに執拗に責めてくるのがとても嫌だったと話してくれました。

担任の先生はとても敏腕のいい先生だったのですが、そのグループのお子さん達には手を焼いているという噂は以前から聞いていました。

いじめというものに該当するのか私では判断しかねますが、娘は6年生になってから学校でかなり嫌な思いをしていたようです。それがあって地域の中学校には絶対に行きたくない、受験してみんなと違う中学に行きたいと思っていたようです。

それまでは特に学校に行き渋ることもなく、家での様子も変化がなかった上に受験勉強で娘の悩みに気づいてあげることも出来ませんでした。

放課後に担任の先生が家に飛んで来てくださって、娘に色々話をしてくださいました。

あなたは何も悪くない。他のクラスのみんなもあれは酷いと言っていたけど、同じ中学に行くのでなかなか言い出せないでいる。本当はあなたの味方はたくさんいるし、あなたは頑張って違う中学に行くことになったから、最後は言いたいことを言ってもいい。堂々と卒業しなさい。

私の立場としては嫌なら卒業式でなくていいよと言いましたが、娘は卒業式には出ることになりました。当日は大人の目が離れないように配慮もしてくださいました。

中学受験をさせようと思った理由

地域の中学校に行くと、高校受験をしなくてはなりません。息子は支援学級ですが、娘はずっと普通学級できています。

今の高校受験は内申点が重要で、テストの点だけではなくノートの提出や宿題の提出率なども大きく関係してくるそうです。宿題も教科ごとに出されるので管理も提出期限も自分で管理しなければなりません。

うちの子供達は発達検査で同時処理に大きく凹みがあり、高学年になってから板書も間に合わなくなって来ました。見て聞いて書く。全て同時にやるのが難しいのです。家に帰るとスイッチが切れるので宿題も取りかかれない、提出期限などの管理も難しい。

支援学級なら宿題の軽減などの配慮も受けられるそうですが普通級では無理とのこと。

これではとてもうちの子が内申点が取れるとは思えません。家庭の事情から私立高校に入れてやることも出来ないし、なんとか公立高校に入れるにはと考えると、内申点の評価が違う公立中高一貫校の受験が一番手堅いだろうと思いました。

もう一点、中学生は思春期。一般のお子さんでも荒れることが多い時期です。小学校でもいわゆる女子グループには全く入らず、話の合う友達もなかなか出来なかった娘です。一般の中学の荒波を乗り越えるのは大変だろうと思いました。案の定、小学校卒業間近となってターゲットにされてしまいました。

私自身、受験で高校に入って、ある程度学力で分けられた世界になってからの方が楽しい毎日でした。うちの子供達にとってもその方が楽しい学校生活が送れるかもしれない。そう思って娘が就学した頃から中学受験を考えていました。

でも、やはり家庭学習で中学受験に挑むのは無謀だったと思います。コツコツ頑張れる従順なタイプのお子さんなら良いかもしれませんが、もともとそういう要素はゼロでした。親子関係に大きなヒビが入り修復も大変。我が家には金銭的にそれしか選択肢がなかったのですが、これから中学受験をお考えの方は、可能ならば塾にお任せした方が良いのではと思います。

 

 思春期のこれから

今も宿題や勉強は大変ですが、手厚い支援を受けながら楽しく中学へ通っているのでこれでよかったのかなぁ、なんとかこのまま高校卒業までこぎつけてくれるといいなぁと思っています。

放課後デイサービスも中高生が多く、学習支援もしてくれるところに変わりました。

家で宿題をやるのが大変なので、できるだけデイでやってくるようにお願いしています。

 

年齢ごとにいろんなハードルが出てくる子育て。決してうちがうまく行っているわけではありません。

私自身、離婚をし母子家庭で、この数年で心臓病やガンという命に関わる病気を経験して来ました。一人でできることは本当に限られていると実感した日々でした。

難しい発達障害児の子育てで一番大切だと思うのは、できるだけ多くの頼れる先を持つこと。決して一人では抱え込まないことです。

今までも療育、児童精神科の先生、学校の先生方、通級指導教室や支援コーディネーター、放課後デイサービス、相談支援事業所、移動支援、児童相談所、ツイッターなどで知り合った先輩保護者の方々や臨床心理士さんなど専門家の方々、たくさんの人たちに支えられて、私のような親でもようやく子供を育てられています。

子供にも学校と家庭以外に安心できる居場所を確保する、話のできる大人がいる環境はあった方が望ましいと思います。

もちろん最終的な責任を持つのは親である私ですが、自分の足らない部分を少しずつ周りにお願いして行く、長い子育てを継続するためにも自分のキャパを越えないようにしています。

親の孤立とキャパオーバーは虐待への入り口です。私は何度も入り口を覗いては吸い込まれそうになって来ました。もうやばいと思ったところで周りに助けを求め、踏みとどまることができています。

時に支援者の方と意見が食い違い、ギクシャクしてしまうこともありますが、基本は共に子供を育ててくれる方々。どうしても合わない方もいますが、できるだけ敵認定をせず、力を貸していただけるように穏便に関係を築くことを心がけています。

子供が大きくなるごとに、子供の世界は親を離れて広がって行きます。そしていつかは自立して行く。自立というのは決して一人で生きて行くことではないと思っています。

多くの頼れる先を持つこと。少しずつ人を頼り少しずつ人を支える。これが社会の中で生きて行く自立なのではと思います。それを徐々に子供に教えるためにも、親が人に頼る姿を見せて行くことができればと思っています。

息子の一年を振り返って。ジュニア算数オリンピックと中学受験

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前回娘のこの一年の様子をざっくり書いたので、息子の様子も記録しておこうと思います。現在小学5年生、自閉症スペクトラムを持った息子は支援学級に通っています。

nanaio.hatenablog.com

小学校と塾と中学受験

小学2年に始まった学校への行きしぶりは、4年生にはほぼ1、2時間目の授業には出られず早くて3時間目、遅ければ給食前にやっと行けるくらいでした。

5年生になった今年、半分以上は遅刻なし、遅れても1時間目には行けるように。これは中学受験の内申のために本人が頑張りました。支援学級に友達もできて精神的にも少しずつたくましくなってきているようです。

息子も娘と同じ学校を目指して中学受験をする予定です。

公立中高一貫の場合、5年生全部と6年生の1学期の内申が関係してきます。

通常、支援学級の通知表は文字ばかりで◎○△というような段階評価はないのですが、受験を見込んで4年生から普通学級と同じ通知表を出してもらっています。通知表の内容が内申点として受験で評価されるようです。

学校では算数と国語の授業は支援学級、その他は交流学級で授業を受けています。学校との長い交渉を経て算数の授業だけは自習に変えてもらい、自分に合った数学の勉強かちょっと苦手な国語の学習に充てています。

娘は家庭学習でやってきましたが、息子の場合は塾に通っています。娘は金銭的な事情で通塾できなかったのですが、息子は成績も良く特待が取れたため、教材費のみで通わせていただいています。(そうでないと母子家庭の我が家ではとても払えません)ただし都会の最難関校を受験するのが条件です。そのための学習もこれからびっちりと入ってくる予定になっています。

中学受験専門塾は家で教えないで良いぶんは家庭学習より楽なのですが、学年を追うごとに授業日数も増えて、送迎に夜遅くまでの通塾と体力的には親子ともなかなかハードです。元々あまり体力のない息子は塾の宿題の軽減など配慮していただいてなんとか通えています。そのぶん家ではゲームに録画にプログラミングなど好きなことをしてのんびり過ごしています。

学校は行き渋っても塾を行き渋ることはありません。本人の学力に合った学習はやはり楽しいようです。息子が自閉症であることもよく理解してくださっていますし、塾も一つの良い居場所になっているようです。

学力的に第一志望である娘と同じ中学は全く問題ない範囲なのですが、支援学級からそこの学校に合格した話はどこで聞いてもどうやら前例がないらしく、そこがどれだけネックになるのかわからないところです。表向きはそういう差別はないはずなのですが、わかりません。公立なので適性検査型のテストというのも学力通りには行かない可能性もあります。

そろそろ志望校を選んで受験スケジュールなども目処を立てていく時期なのですが、私立中学の受験は大変ですね!特待条件の最難関校を受けることになると、本番に向けて練習のためにいくつか別の私立も受けて先に合格を抑えておくなど、えーー受験料だけでどんだけ・・と今から頭を抱えています。娘の時は公立一つだけ受けてそのまま通えているので、本当の中学受験の恐ろしさは知らなかったヨ!!って感じです。母も頑張って働いて受験料貯めます・・・。

今のところ成績は良くこのまま受験まで行って欲しいところですが、これから周りが追い上げてくるでしょうし気が抜けません。元々国語が苦手で記述問題はほとんど真っ白、作文も書けなかったのですが、塾に通い出して少しずつトレーニングしていただいて、今ではだいたい書けるようになりました。ただ作文は時間がかなりかかるのでそこはもう少し頑張らないといけないところです。発達検査では動作性よりも言語性が凸タイプなので、語彙の方は随分力がついてきました。

やっぱり塾はさすがプロ。あれだけ家でいろんな方法で頑張っても一行作文すら書けなかった息子が、今は書けるようになるなんて驚きです。

息子の中学受験に関しては、娘と同じく、周りの落ち着いた環境、高校受験で内申点を取りにくいために回避したい、学力に見合った授業を受けたい、何よりも同じく勉強に興味のある仲間の環境ができれば友達もできるかもしれない。受験校では息子の頑張っている理系オリンピックなどのサポートがあることも大きな魅力です。

現在、支援学級に在籍している息子にとっては、普通学級しかない受験校はチャレンジです。しかし本人も学校見学などで気に入って意欲を持っているので、なんとか頑張って欲しいです。娘も予想外の手厚い支援を受けられている中学校ですのでその点は大丈夫なのではと思っています。

算数オリンピックと数学の学習

1年生の時から毎年挑戦していた算数オリンピックですが、2年生でキッズBEE大会の金賞と長尾賞をいただいて、その後は5年生までの部門であるジュニア算数オリンピックを受けていました。3年生の時は予選落ち、4年生の時は本選に行きましたがあと2点で入賞に届きませんでした。ジュニアに挑戦最後の年である今年は、三度目の正直でようやく金メダルを取ることができました。嬉しい!!

こうなると表彰式で田舎から東京まで行かなくてはいけないんですよね。嬉しいけど財布は痛い。でも、どうせ高い交通費と宿泊費がかかるのであれば、ええい、最初で最後の家族旅行しちゃえ!と娘も連れてついでにディスニーリゾートへ行ってきました。今まで一度も家族旅行など連れて行ったことはありませんでした。抗がん剤の後遺症の残る私と過敏で体力のない息子なのでギチギチのスケジュールは組めません。清水の舞台から飛び降りました。我が家の一ヶ月の生活費が飛んで行きました・・・。

 

ツイッターで知り合ってずっと会いたかった方々ともお会いできて、表彰式の間にオタクの娘は秋葉原やコミティアに連れて行ってもらったり、ディスニーランドもディスニーシーも楽しめて、表彰式では憧れの算数の神と呼ばれる方と写真を撮っていただいて、みんなで大満足の旅でした。子供達にいい思い出を残せたのなら無理したことも救われるかな。

とってもお金がかかったので年末年始も休みなく働きます。残業で取り返す!!(もともと年中無休の職場です)

 

2年生で3級をとって以来ストップしていた数学検定、過去問を見ると解けそうなので先日準2級を受けて取得しました。他の受験などで忙しいので2級以降は中学に入ってからになりそうです。

いよいよ来年は算数オリンピック本番なのですが、その前にお試しでジュニア数学オリンピック(JJMO)を受けてみることにしました。高校生から世界大会に向けての日本代表を決める数学オリンピックの中学生向け部門です。予選通過者に灘や開成がずらりと並ぶ中、小学生ではとても太刀打ちできるものではないのですが、まずは場慣れのために受けてみます。年明け1月には予選。今のところ過去問は半分ほど解けるくらいにはなりました。

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息子もASDとADHDのハイブリッドでした

娘が多動・衝動性・不注意と全部乗せの濃い目ADHDのために今まで気づいていなかったのですが、どうも息子の方もうっかりが多い。二日に一度は水筒を忘れていくし、ものはなくなるし、たまにランドセル忘れて手ぶらで学校に行っちゃうんですよね。

私も同じような子供でしたのでこんなもんだろうと思っていましたがもしかして。

外では大変おとなしいのですが家では口がマシンガン。延々喋っています。テストも問題文の読み落としが非常に多い。

この辺りをかかりつけの児童精神科の主治医の先生にご報告したところ、コンサータが処方されました。

コンサータはADHDの診断がないと処方されない薬です。娘も飲んでいます。はい、息子もADHDでした。不注意優勢型と呼ばれるタイプですね。娘と同じく自閉症スペクトラムとの両方持ちとなりました。

コンサータを飲みだしてからは少しずつですがうっかりも減っているようです。娘の時のような激変はないのですが今のところ薬も合っている様子。

縦に小さいですが横に大きい子なので、副作用の食欲減退に期待しましたが、今のところぷにぷにのままです。カワイイです(親バカ)

 甘えてくるようになった息子と言語化

息子は小さい頃からあやせばよく笑う子でしたが、全く自分から寄ってこない子でした。抱っこをせがんだことも一度もありません。イヤイヤ期らしきものもありませんでした。(娘は万年イヤイヤ期のまま思春期に突入)

頭ではわかっていても親をあまり親と認識していなかったのか、たまたま親切にしてくれる人程度で遠慮ばかり。ものもねだらないのでなんでも好きなものを買ってあげるよ!とおもちゃ屋に連れて行っても何もいらないという子でした。

寄ってこないので私の方からいつもちょっかいをかけてスキンシップを取るようにはしていましたが特に変化なく幼児期が過ぎました。

ところが、昨年くらいからくっついては来ないものの私の後をついてくるようになり、今年になってからは何かとくっついて甘えてくるようになりました。

小学校高学年にもなって親にくっついて甘えてくるというのは一般的にはちょっと・・という感じかもしれませんが、もしかしてやっと情緒的に親を認識し甘える段階に来たのかもしれないと思っています。

今まで反抗することもほとんどなく、このまま思春期に大爆発でも起こしてしまうのではないかと少し心配をしていましたが、遅れながらもこのような変化があったのは喜ばしいことかもしれません。

母としては今までちょっかいかけてもかけても片想いだったので、めちゃくちゃかわいいです。気持ち悪いかもしれないけど今までなかったぶんいっぱい甘やかしています。

そのうち突然クソババアと呼ばれたとしてもかわいい。

娘も反抗しながらもなでなですると未だゴロニャンと甘えてくるかわいい子です。中学生ですけど。

 

振り返ってみれば、息子が変化を見せる時のキーワードとして言語化があるように思います。

小さい頃なぜか毎日1時間泣きっぱなしの癇癪を起こしていましたが、言葉を話せるようになって収まりました。言葉は理解していたのに発語も少し遅めで発音も悪くなかなか人に通じない、そういう時期が長かったのが癇癪に繋がっていたように思います。

その後も喋りはするけども何かの説明や出来事の説明ばかりで、自分の気持ちを言うことはありませんでした。

それを代わりに言葉にして行く、「嫌だったねぇ」「嬉しかったねぇ」「それが好きなのねぇ」繰り返していくうちにだんだんと自分の気持ちを言葉にするようになりました。そして怒りを表現するようになってからは気持ちの切り替えが難しく、別の部屋にこもることも増えましたが、今は適度にコントロールできています。

そのように段階を踏んで今はようやく甘えられるステージに来たように思います。

 

苦しいことも悲しいことも困ったことも未だ次々と起きてきますが

娘の受験合格、息子のジュニア算数オリンピック金メダル、初めての家族旅行、私も病気の再発もなく安定して働いてなんとか生活することができました。色々あっても嬉しいことがいっぱいの一年でした。

子供たちと私に関わってくださる全ての方々に支えられてここまで来ています。

このブログを読んでくださるあなたにも、全ての方々に感謝しております。

1年間ありがとうございます。これからも私たち親子を見守っていただけると嬉しいです。

皆様にも穏やかな新しい年が訪れますように。

どうやって先生に配慮をお願いする?合理的配慮のための学校との交渉術

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新年度が始まりましたね。そろそろ家庭訪問という学校も多いと思います。

毎年、理解ある先生に当たりますようにと祈る気持ちで迎える新年度。

しかし、どうやったらうまく先生に子供のことをわかってもらえるのか、どうお願いしたら子供の障害に適切な配慮をしてもらえるのか、悩むご家庭も多いのではないでしょうか。

タイトルに交渉術と入れましたが、そういうことは苦手な方も多いと思います。

ただ、ちょっとしたコツで学校との話し合いがスムーズに進む方法もあります。

もちろん先生方にもいろんな方がいらっしゃいますので、全てにうまく行くとは限りません。ただ、1年間子供を預けるにあたって、極力良い関係を築いておきたいですよね。

 

先生は子育てのパートナー

ツイッターなどを見ていると、理解のない先生に辛い思いをした話をよく目にします。もちろんそういう先生方もいらっしゃいますしそういう方にあたれば本当に大変かと思います。しかし基本的には先生方は子供たちに教えたい育てたい人です。子供の成長のために私たちと協力し合うパートナーです。

ただ、学校の先生は仕事がとても多く、過度な残業など労働環境も近年問題になっています。疲れていて余裕のない方も多いのです。

「お忙しいのにすみません」「いつもありがとうございます」「本当に色々と助かります」「これからもよろしくお願いします」「頼りにしています」

など一言感謝と労いの言葉を添えることが、その後の話し合いの潤滑油になります。職業とはいえ先生も一人の人間。相手の態度によっては最低限のことで済ませようと思うか尽力しようと思うかの違いは出てきます。

 

プロにはまず相談しよう

 「うちの子は〇〇なので〇〇してください」

発達障害などで困難を抱えるお子さんの配慮をお願いする時によくやってしまいがちのパターンですね。私も最初はこの調子でした。

たとえ支援学級であっても学校は個別指導の場ではありません。複数の子供たちを見ていく上で先生一人でできることには限りがあります。どんなことができるのかできないのかは最終的には学校側が判断することになります。

そこに最初からこうしてくださいと指示してしまえば、教育のプロである相手はいい気持ちはしないと思います。もちろん法律で定められた合理的配慮として公立の学校には配慮をする義務はありますが、どこまでが過度の要求なのかどうかは双方の話し合いで折り合いをつけねばなりません。

「うちの子は〇〇で困っているのですが、何か学校でできる対策はないでしょうか」

と話した後に先方からアイディアが出ればラッキー。そういうものは大抵過去に配慮の実例があるものです。こちらが思ってもいなかった方法が出ることもしばしばあります。

なかなか自分の子に合いそうなものが出なければ、そこで初めて

「うちでは〇〇すれば〇〇できることは多いです。学校では難しいでしょうか」

「こういう方法があると聞いたのですが試してみるのは可能ですか?」

と出してみるのが吉です。その上で他のお子さんなど学校での環境を考慮して可能かどうか、無理ならば他に方法はないか話し合いを進めて行くことができます。

結局言うことは同じなのですが、順番を間違えないだけで随分と違った結果になることは多いと思います。

支援学級の担任の先生であっても特別支援のことに詳しいとは限りません。特段支援の免許は支援学級の必須ではありません。普通の教員免許があれば配置されます。

しっかり勉強されているスペシャリストの先生もいればまだまだこれから、もしくはその気がない先生もいらっしゃいます。逆に普通学級の先生で、とても特別支援に詳しい方もいらっしゃいます。本来、特別支援教育は専門的な知識と技術が必要なはずですが、先生方の研修などが追いついていないのが現状です。

もしもあまりご存じない先生にあたったら、可能であればお子さんの特性を丁寧に伝える努力は必要かと思います。その際には「〇〇ができない」「〇〇がわからない」だけでなく、

「〇〇が難しいがこうすれば家では出来ることがあった」「〇〇はわからないがこういう伝え方だと理解しやすい」などと出来ることを付け加えると配慮のヒントにもなるかと思います。

大人でも家の中のリラックスした顔と外での顔は違うものです。子供も大きく様子が違うことがあります。

家ではできないことでも学校なら周りの目があるから頑張って出来ていることもありますし、家の環境と学校での環境の違いから出来なくなることもあります。

子供の特性を一番知っているのは長い時間過ごしている保護者であることは間違いないですが、まずは一旦学校での様子と家での様子を先生とすり合わせてみることは大事です。

 

たまに子供から学校の話を聞いて(はあ?!どういうこと?!ふっざけんな!)と瞬間湯沸かし器になってしまうことがあるのですが、まずはそのままぶつけるのは一旦置いて、「子供からこう聞いたのですが、何があったのでしょうか」と穏健に状況説明を求めてみましょう。

状況によっては子供の側の言葉足らずや説明違い勘違いということもままあるのです。これである程度、要らぬ対立は避けられます。

 

もしもあまりご理解のない先生にあたったら

先生と保護者の話し合いが平行線でどうにもならない場合、まずは、第三者を交えて支援のためのケース会議をお願いするのが良いかと思います。

校内でお子さんの障害に対して一番ご理解のありそうな先生の同席を頼んでみるのがベストです。特別支援コーディネーター、スクールカウンセラー、学年主任、教頭、副校長、教務主任などの管理職や、支援学級の先生でもいいと思います。

近隣の特別支援学校で、支援コーディネーターの派遣をやっているケースもあります。

学校側が了承すれば、放課後デイや療育、主治医などの同席を頼むのも一つの方法です。ただし学校は外部の人が入ることを嫌がるケースもあります。学校の立場、支援者としての視点、両方持った人が理想ではあります。

 ケース会議では担任、保護者双方からの現状の把握、それに対してどんなことが可能か対策を立てる、記録を取る、問題が解決するまでケース会議を定期的に開催し、対策による変化とまた別の手立てを考えていきます。

ケース会議はご理解のある先生の場合ももちろん有効です。支援級在籍の場合は支援級担任、交流級担任とも支援の方向のすり合わせをしておくのは大事になります。

お子さんが高学年にもなれば本人も参加でやってみるのも良いかと思います。

中高生になれば、自分の特性理解と自分で配慮を求める力も必要となってくるからです。どうやって合理的配慮を求めて行くのか、見て経験する機会になります。

 

もしも学校がケース会議を行うことに前向きでない場合、「合理的配慮のための話し合いをお願いしたい」と言ってみてください。

公立学校は障害者差別解消法に基づき、過度な負担のない限り合理的配慮をする義務があります。障害者手帳を持たない発達障害児も対象です。この「合理的配慮」の言葉があれば、基本的には学校は無視をすることはできないはずです。

合理的配慮については下記の記事に詳しく書いています。 

nanaio.hatenablog.com

 

nanaio.hatenablog.com

 

できればやっておきたい配慮をお願いするための小ネタ

<機会があれば校内でどの先生が特別支援教育に詳しいか、ご理解があるか情報を集めておく>

いざという時に担任の先生以外の相談先を校内に確保しておくと助かります。管理職だとなお良し。

 

<チャンスがあれば管理職の先生と話しておく>

参観日の時に通りかかった校長先生など、管理職の先生にも日頃の感謝の言葉も添えつつ、ご理解のある担任の先生なら思いっきり褒めて感謝の気持ちを伝えておきましょう。ご本人の耳に入り先生のモチベーションアップにつながることもあります。

そうでなくても普段から管理職の方々とコミュニケーションが取れれば、いざという時にも相談を持っていきやすくなります。

 

<保護者間で情報交換を>

お子さんに特性があれば保護者の方にも似たようなところがあるのはよくあることです。私ももれなくコミュニケーションはちょっと苦手です。

それでもチャンスがあれば保護者間でのつながりを持っておくのは、学校や地域の情報を得るために最強の武器になります。無理のない範囲で繋がってみてください。

 

<相手が高圧的な場合はお父さんを召喚>

話がなかなかまとまらない、相手が高圧的な場合、父親(もしくは支援者の男性)に同席してもらうとびっくりするほど態度が変化し話がスムーズになる場合もよく聞きます。何も言わず置物状態でも大丈夫だそうです。意見のすり合わせは前もってしておいた方が良いでしょう。

(子供の支援について意見のすり合わせができない、置物にもならない場合は避けたほうが吉)

(うちはそんなんでした)

 

我が家の体験

うちは現在、普通学級在籍の中学2年生の娘、情緒支援学級在籍の小学6年生の息子がいます。どちらも発達障害児です。

学校に行けなかったり、いじめがあったり、数々のトラブルはありましたが、先生方のご理解とご協力で今のところ乗り越えてきています。

状況によって宿題の軽減、イヤーマフやデジタル耳栓などサポートの道具の使用、周りの子供たちとのコミュニケーションのサポート、学校道具の管理、授業の工夫、指示の工夫、今まで様々な配慮をしてきていただいています。

中にはちょっと個性の強い先生もいました。保護者の方や同僚の先生ともトラブルになりやすい方と情報は得ていました。

その先生が担任になった時に私も最初は(はぁ?!)と思うこともありました。しかし、できるだけ事を荒立てず敬意を持って接するよう気をつけたことで、こちらがお願いしたことは大抵スムーズに実行していただきました。特別支援に関しての知識は非常に豊富な先生でした。

一方で、同じクラスの別の保護者の方には、うちと全く同じ事をお願いしても門前払いされていました。保護者の方と先生との相性がとても悪かったようです。

 

合格に導く最強の戦略を身につける! 一生の武器になる勉強法

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もちろんこれで全てがうまく行く場合ばかりではありません。学校全体としてあまりご理解のない場合もあるでしょう。しかし先生方に敬意を払い、無駄な対立を極力避ければ、ちょっとしたコツで、お子さんが障害特性によって学校で困ることを減らせる可能性は上げることができるかと思います。

無理のない範囲でやっていけるといいですね。

お子様方の学校生活が少しでも楽しいものとなりますように。

 

suminotiger.hatenadiary.jp

たまたまツイッターでこの事を記事にしようかなと呟いた時に、スズコさんも同じテーマで書こうとされていたので、それぞれの切り口で同時アップのコラボという話になりました。

言いたいことはかなり近いですがスズコさんなりの交渉術も大変参考になると思います。こちらの記事も是非〜!

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